今日こそ…。

今日こそコタロウさんがいる…!


そう思ったのだけれど――。

コタロウさんの姿はなかった。


「コタロウさん、まだか…」


僕は定位置に座ると、カバンから青の書を取り出した。

最後に青の書を読もうとページを開く。


* * *


「おーい、お〜い」


まるでエコーがかかったかのようなこだまする声が響いてくる。

その声にはっとして我に返った。


「ようやく気がついた?」


顔を向けると、右手で頬杖をついてしゃがみ込んで僕を見つめるコタロウさんが。


「…コタロウさん!」


突然現れたコタロウさんに、僕はとっさに顔が赤くなるのがわかった。

そういえば、前にもこういうことがあった。


「も〜、また本に没頭してたでしょ?」

「は…はい」

「わたし、ずっとここにいたんだよ?なのに、涼太くん全然気づいてくれないんだもの」