コタロウさんの笑顔に救われた。

勇気を出して呼び止めてよかったって。


「それじゃあ、1週間後の同じ時間。またここでいいかな」

「はい、大丈夫です」

「ほんと、ただの読書垢さんに早く白の書読んでほしい」

「僕も、早くコタロウさんに青の書読んでもらいたいです」


僕たちは同時ににっこりと笑った。


「それよりも、コタロウさん早く家に…」

「…あっ、そうだった!じゃあ、本当に今度こそ行くから!またね、ただの読書垢――」


と言いかけたコタロウさんが口をすぼめる。


「ねぇ、名前…教えてもらってもいい?“ただの読書垢”さんって名前、長くて呼びづらくて」


ペロッと舌を出しておどけるコタロウさん。


「あ…、はい。僕は内海(うつみ)っていいます。内海涼太(りょうた)

「涼太くんね!それじゃあ、また来週!」