「ん?」


片足を地面につけて振り返るコタロウさん。

そのコタロウさんのところへ僕は駆け寄った。


「あの…、…会いたいです!」

「へ?」


コタロウさんは目を丸くする。


「僕も、那須川先生についていろいろ語りたいです…!那須川先生のことだけじゃなく、本好きとしてたくさん話したいです!」


コタロウさんの目を見ながらだからだろうか――。

ドキドキして顔が熱くなる。


…緊張で、つい早口にもなってしまった。

それに、がっつきすぎて引かれてしまったのではないだろうか。


言動とは裏腹に徐々に不安になってくる。


――すると。


「…フフッ、うれしい」


コタロウさんが笑みをこぼした。


「せっかく趣味が合う人と出会ったのに、このままお互いの持ってる本を交換するだけで終わる関係はもったいないなって思ってたんだよね。だから、そう言ってもらえてうれしい」