「わたし、クーラーの風ってちょっと苦手なんだよね。だからここ、すごくいい」


さっき会ったばかりの初対面の僕に対しても絶えることのない無邪気な笑顔。

年上なのだろうけど、その純粋すぎる笑顔が初対面とか年上とかそんな壁を一瞬にして取っ払った気がした。


「それじゃあ、さっそく読もうか。実は、ずっと読みたくてウズウズしてたの」


照れつつも正直すぎる言葉に僕は笑みがこぼれた。


「そうですね」


僕は、川を正面にしたいつもの定位置に腰を下ろす。

そこからブロック5つ分右にずれたところに女の人も腰を下ろす。


…そうだ。

せっかく入手できたんだから、記念に…っと。


僕はズボンのポケットからスマホを取り出すと、カメラを起動した。


そして、青の書を持った手をうんと前に伸ばし1枚パシャリ。