①物語の設定・主要キャラクターの説明

・物語の世界観
魔法使いは「精霊」の力を借りて魔法を使う。一般人には見えない精霊と交感できることが、魔法使いの才能である。精霊たちのボスの大精霊は神にも等しい存在で、魂を転生させることもできる。だが、転生はこの世界では一般的ではない。

人間の他、獣人やエルフなどの亜人種が存在し、それぞれの種族や人種で差別や偏見は存在する。
バーサーカーは人間の中の人種の一つで、被差別階級。強力な筋力と体格を持つが、知能が低く凶悪と見なされ、他人種からの偏見が強いため、森の奥で集落を作ってひっそりと暮らしている。

主人公が暮らす王国には、ルミナスアカデミーという、王立学園がある。
王国最高の教育機関で、エリートを目指す者が憧れる学校。ヒロインと主人公が入学することになる。

数百年前から、大精霊のちからを借りて、国土に封印の結界が張られている。
それは太古の昔、国を恐怖のどん底に陥れた、強大な力を持つバーサーカーを封印するもの。


・主要登場人物のキャラクター紹介

■主人公
ヴァイド 男14歳 職業・種族:バーサーカー(人間) (前世:グレン 23歳 付与術師)
負けん気が強い。複数の精霊から気に入られるという、めったにない才能を持っていた。
様々な魔法を駆使してパーティーの能力を底上げする付与術士。
虚弱体質で戦闘でダウンすることも多く、最期は倒れたままパーティーに見捨てられて死亡。
現在は、バーサーカーとしての肉体に加えて前世の付与術も使える状態で、より身体能力を高めることができるが、普段はむしろ強すぎる身体能力を抑えるためのデバフとして付与術をつかい、学生生活を営んでいる。
差別を受ける側に転生したことで他の弱者たちを助け、差別の解消をしていくことを目標としている。
バーサーカー一族を騎士団の攻撃から守るため、学園で優秀な成績を収めなければならない。

■ヒロイン
フィオリア女14歳次期女王
見た目はまだ幼いが、凛とした振る舞いをする少女。次期国王として、人を色眼鏡で見ないことを心がけている。
学園へ入学するところをヴァイドに助けられた。
ヴァイドのことを好いている。バーサーカー一族が皆殺しにされそうになり、機転を利かせてヴァイドを学園に入学させ、バーサーカーが危険な種族ではないと証明させようとしている。
まだ精霊と交信できないことがコンプレックス。
犬が好き。死んでしまった愛犬が彼女につく精霊として蘇ってくれることで、魔法の能力に目覚める。

■友達1
ノーラ  女 12歳ライカンスロープ
貧乏な家柄の少女で、掃除夫として学園にいる。弱気で、獣人に対する差別や偏見で学生らからも
いじめにあっている。本当は学校に行ってみたくて、授業を盗み見たり、捨てられた本を読み漁ったりしている。
ヴァイドの助けもあって、その高い身体能力を示すことになり、学園への入学を果たすことになる。

■友達2
グレイス男35歳教師
生物学・精霊学の教師。学園では、大した学歴も家柄もない教師として、窓際に追いやられている。
それもあって授業も生徒に馬鹿にされ、学級崩壊を起こしている。
ヴァイドとレオンのいさかいを、自分の持ち前の知識を使って仲裁し、生徒たちの信頼を回復することに成功する。
ヴァイドの転生についても気がつく唯一の人物で、ヴァイドの強い味方の一人となる。

■友達3
レオン 男15歳人間
ヴァイドの前世のパーティーメンバー、戦士のセリリアが育てている養子。
自分の家柄を鼻にかけ、横柄な態度を取り、いじめの親玉でもある。
だが本当は、セリリアの厳しいしつけで、常に一番でいることを強いられていて、家から追い出されないように必死になっているという可哀想な事情がある。
ヴァイドに負けることになるが、そこから友情が芽生えて、親の顔色を見てばかりでなく自分の誇りのために生きることを選ぶ。


【精霊たち】
■ラヴィーシャ女妖精
ヴァイドの前世からの相棒。ヴァイドがいつも不遇な目にあっているのを知っており、大精霊に転生をお願いした。フィオリア等の他の女や他の精霊が寄り付くと猛烈に嫉妬して拗ねる。

■大精霊
フィロネア男ドラゴン
ドラゴンの姿をした5000年を生きた大精霊。ヴァイドをバーサーカーとして転生させるが、自分が死んだあとに訪れる厄災まで見越しての行動。

■スポッティ男12歳犬
フィオリアの愛犬。いつも彼女を守っており、不幸な事故で死んでしまうが、精霊として蘇り、
フィオリアの相棒として生きていくことになる。

【主人公前世の元メンバー】
■剣士
ダリオン男38歳  騎士団長
パーティーのリーダー格だった男。
他人が自分よりも優れているというのを認められない性格。自分よりも目上の人間に媚びを売るのがうまい。ヴァイドが死んだ戦いで功績を上げ、王国の騎士団長に上り詰めている。王国を追放され、やけを起こして自分を生贄に邪竜を復活させ、死ぬ。

■魔法使い
リュネット女30歳  学園教頭
ダリオン同様、功績を上げたことで、王立学園の教頭になっている。
生徒や教員のえこひいきがひどく、問題があっても自分の好き嫌いで裁定してきたため、学園が腐敗する一因になっている

■戦士
セリリア女34歳  教師
王立学園の剣術の教師をしており、信奉者や弟子も大勢いる。
孤児院で成績トップだったレオンを養子にしたが、成績が上がらないことできつくあたっている。
レオンを通して教頭のリュネットの鼻を明かしたいが、それができず家に帰るといつもなにかに八つ当たりしている。


②冒頭部分のプロット

■第一話

伝説の魔物との激闘の末、主人公ヴァイドは力尽きて倒れてしまう。
仲間たちはヴァイドを助けようともせずに逃げてしまう。

「もっと頑丈な体がほしかった」と薄れゆく意識のなかで願うと、ヴァイドは光に包まれ、不思議な声を聞く。
「多くの精霊たちに愛されているおまえの魂が消えるのは忍びない。おまえの望みをかなえよう」

気がつくとヴァイドは、モンスターのようなうなり声を上げる巨大な人間たちに囲まれている。
赤ん坊の姿で仁王立ちしている自分も、およそ人間の声とは思えない音が口から出てくる。
ヴァイドはバーサーカーに転生してしまったことに気づく。

時は流れ、成長したヴァイドは頑丈な体と、心優しい家族・村人との暮らしに満足して生きていた。

森で悲鳴が聞こえたので駆けつけると、大蛇と王家の騎士団が戦っていた。
ヴァイドは村人と共に大蛇と戦うが苦戦、その際に前世に契約していた精霊を呼び寄せることに成功し、付与術を再び使い、大蛇を倒す。

大蛇に壊された馬車から救出した少女フィオリアはなんとこの国の次期女王で、ルミナスアカデミーに入学するため移動していたところだった。

バーサーカーの集団に恐れおののく騎士団の団長は、なんと主人公を前世で見捨てたパーティーのリーダーだった。
バーサーカーたちをこの場で全員討伐するべきだと叫ぶ団長に、フィオリアはヴァイドを助けるために提案する。
「私と一緒にルミナスアカデミーに入学して、バーサーカーが優秀な人間だと証明しよう」


■第二話

王国一の学園に、野蛮人が入学することに騎士団長は反対するが、ヴァイドは家族や村人を守るため、単身学園に入学することを決意する。

14年ぶりの王都に懐かしさを感じるヴァイドだが、学園の学生は全員エリート。
完全に差別の目しか向けられず、横柄な貴族の子供から試合を仕掛けられるが、
ヴァイドは彼を傷つけることなく制圧する。

ヴァイドは付与術を応用して、自分の強すぎる身体にデバフをかけて、
人並みプラスアルファぐらいの強さに調整していた。ちなみにこのことは他人には秘密である。

前世の知識ですぐに成績トップに躍り出るヴァイド。

しかし周りの子供の嫉妬、そして学校上層部にいる元パーティーメンバーたちが
ヴァイドを目の敵にし始める。


■第三話

ヴァイドは学園の隅っこで教室をのぞき込んでいる獣人の少女ノーラを見つける。

ノーラは貧乏な家柄で、学校の生徒ではなく両親が住み込みで学園の掃除夫をしているので、学園にいるのだった。
学園の生徒たちから見つかるたびにゴミや罵声を浴びせられていた。
エスカレートしたいじめは、掃除しかできないものは必要ないから、学園内からノーラの家族を追い出そうという話になってしまう。
種族や家柄で被差別階級にいるノーラをかばう。

ヴァイドのことを恵まれた人間だと思っていたノーラだが、ヴァイドが一族の命運を背負っていることを知って、自分も家柄を言い訳にせずに戦おうという気になる。

授業中に魔物に襲われるトラブルが発生するが、ノーラだけが知っている学園内の古い隠し通路を使って学生たちを逃がし、魔物を倒す。

ノーラは学園に転入することになり、ヴァイドとフィオリアに仲間が増える。



③今後の展開

ヴァイドは、学園で良い成績が収められなければ集落が討ち滅ぼされるが、同時にバーサーカーへの差別を解消するチャンスを得る。
国立学園は優秀な生徒が集う学校で、そこでヴァイドは姫を始めとして、差別されている獣人、窓際に追いやられている教師、元ヴァイドのパーティメンバーの息子であるプライドの高い同級生など、多くの学友の問題を解決し、打ち解け、友達になっていく。そして、学友たちのバーサーカーへの偏見も徐々になくなっていく。

騎士団長や、国立学園の学長らはヴァイドの元パーティーメンバーだが、ヴァイドの正体はしらない。
事あるごとに性格の悪い嫌がらせをしてくる。ヴァイドが学園で味方を増やすにつれ、自分の立場への危機を感じ、ある時一線を超え、学園の生徒全てを巻き込む呪術を発動させる。
ヴァイドは仲間たちとその呪術を打ち払い、学園の生徒を救う。
そして、騎士団長たちが冒険者をやっていた頃に仲間を見捨てたこと、自分たちの地位を守るために様々な悪事を働いていたことが白日のもとにさらされる。

国王や、魔力を司る精霊たちの怒りを買い、元パーティーメンバーは国外追放となる。
様々な苦難を一緒に乗り越えてきたヴァイドと姫はお互いを意識し始める。

追放された元パーティーメンバーたちは辺境にいる邪竜を懐柔して国を滅ぼそうと攻撃してくる。
その攻撃で、大精霊は消滅してしまう。
国家の危機に瀕するが、ヴァイドと最初に契約していた精霊が次の大精霊として大きなエネルギーを引き継ぐことになり、結果ヴァイドには今まで以上の魔力が宿ることになる。
邪竜をなんとか退治することに成功するが、自分たちの命を邪竜への生贄として捧げていたパーティーメンバーたちは死にたくないと言いながらも、一緒に死んでしまう。

この戦いで一時的に大精霊がいなくなったことで、国に古代からかけられていた悪を封じる封印にほころびがでてしまう。

封印されていたのは、史上最強・最悪のバーサーカーだった。
彼はバーサーカーが差別される歴史を作った原因であり、しかも、ヴァイドらの集落の先祖にあたる人間だった。
彼は強いものが国を支配するべきだという考えの人間で、ヴァイドらの説得にも全く応じることはなかった。
最終決戦で彼を倒し、ヴァイドたちが国の英雄となったことでバーサーカーへの差別はなくなり、ヴァイドの故郷にも平穏が訪れる。
ヴァイドと姫は結ばれて、幸せに生きていく。