土曜の休日ということで、起きたのは昼前。いつもはもう少し早く起きるんだけど、これは昨日の夜更かしが原因だった。
私は着替え、街へと繰り出した。
と言っても、漫画の新刊を買いに行くだけ。え? 円盤も漫画もゲームも買って、ずいぶん金があるって? ふふふ、そうなのだよ。私を称えるが良い! 社畜の父と準社畜の母は、私たち姉弟には甘いのだよ! 特に弟にね! ウハハハハ!
「また変なこと考えてるでしょ?」
そして、隣を歩く弟に突っ込まれる。
「いやいや、こうやって弟くんとデートできて幸せだと思って」
「キモイね……」
キモイのお言葉頂きました! ありがとう!
このように反抗期で難しいお年頃の弟だけど、こうやってたまに付いてくる。深い理由は無いと思うんだけど、気まぐれみたいなものだろう。
弟は青いシャツにダメージジーンズを合わせ、なかなかオシャレなコーデを発揮している。背も高くスタイルもいいし、黒髪だとシックに映えるんだよね。私は普通に黒いチュニックにベージュのパンツを合わせたちょい大人のシンプルスタイル。動きやすくて最高。
駅前に降り立った私たちは、ペデストリアンデッキからアニメ○トのあるビルへと向かう。
「何買うの?」
「ヒロ○カの最新刊」
「ふーん……ゲームもやって漫画も読んで、よくそれで成績が保たれるよね」
「そうしないと、おねだりできないでしょ?」
「おねだりって……」
「いやいや、海の方が凄いからね? 母さんいつも完敗だし」
「それは俺の実力みたいな?」
そんな他愛もない会話をしながら、ペデストリアンデッキの上を歩く。ショップのあるビルはそのままペデストリアンデッキと繋がってるので、そのまま階段を降りずに入ることが可能だ。
そして入り口へ近付いた辺りで、見知った顔を見つけた。
「ん? 谷川くんかな?」
「え? 姉さんの友達? 嘘? 友達いないはず……」
「……それはそれでショックだけど、確かに友達ではないかも」
友達ではないと言ったけど、オンしたり、ゲーム談義したり、それなりに親しい間柄ではある。もちろん谷川くんにとっては私みたいな陰キャは雑草みたいなもんだろうけど。
彼も私に気付いたようで、軽く手を上げて近寄ってくる。隣には小さな男の子が一緒にいる。ははぁ、あれが弟かな。小学生だね。
「やあ」
私は谷川くんに声をかける。
「おう、奇遇――」
とが言いかけ突然固まった。隣の弟もそんな兄の姿を見て戸惑ってる。
「……? どうしたの?」
と言ったところで、視線が弟に釘付けになってるのに気付いた。あ、さては私みたいな陰キャがデートでもしてると思って驚愕してるのかな。
「あぁ、こちら、私の彼氏」
「――んなっ!?」
「姉さん?」
「ごめんなさい」
弟の凶悪な視線に耐えきれず、私は即座に謝罪した。
「俺は弟です、ごめんなさい。うちの姉が変なことを言って」
うちの弟がそんなことを言って、頭を下げた。
「あ、あぁ……弟か、そうか弟……弟?」
あれ? 何故そこで驚愕するの? そこは安心するところだよね?
「お前、こんなイケメンと一緒にエロゲーやってんの?」
あ、そこね、驚いたのは。そうだぞ、すごいだろ。むふふ。……あ、止めて、弟くんが殺す目つきで睨んでるから……とりあえず否定しないと後でぬっ殺される。
「あー、いや、違うよ。ギャルゲーだし。うん」
「いや、対して変わらんし……ってか、姉ものだよな?」
そこまで話したところで、今まで黙ってた谷川くんの弟が服を引っ張りながら――
「――兄ちゃん、行こう?」
「あ、そうだな、悪い。じゃ、またな」
そう言って、谷川くんは弟を引き連れて駅の方へ向かっていった。
「へぇ……弟思いで優しそうな人だね」
「んー。そうだね。学校では煩くてチャラいけど」
「え? そうなの? そうは全然見えないけど」
「私と話す時は普通な感じ。でも、私みたいな相手だし、合わせてくてるんだろうね。基本的にいい人だし」
「……そう?」
そして私たちはアニメショップへと向かう。
ビルに入り、エスカレータに乗ると、後ろに立った弟が呟くような声で一言。
「……弟とエロゲーやるって広めてるんだね」
あかん。これはあかんやつや。
「いやいや、だから、エロゲーじゃないって。全年齢版の――」
「後で、ちょっと話そう?」
「はい」
私は着替え、街へと繰り出した。
と言っても、漫画の新刊を買いに行くだけ。え? 円盤も漫画もゲームも買って、ずいぶん金があるって? ふふふ、そうなのだよ。私を称えるが良い! 社畜の父と準社畜の母は、私たち姉弟には甘いのだよ! 特に弟にね! ウハハハハ!
「また変なこと考えてるでしょ?」
そして、隣を歩く弟に突っ込まれる。
「いやいや、こうやって弟くんとデートできて幸せだと思って」
「キモイね……」
キモイのお言葉頂きました! ありがとう!
このように反抗期で難しいお年頃の弟だけど、こうやってたまに付いてくる。深い理由は無いと思うんだけど、気まぐれみたいなものだろう。
弟は青いシャツにダメージジーンズを合わせ、なかなかオシャレなコーデを発揮している。背も高くスタイルもいいし、黒髪だとシックに映えるんだよね。私は普通に黒いチュニックにベージュのパンツを合わせたちょい大人のシンプルスタイル。動きやすくて最高。
駅前に降り立った私たちは、ペデストリアンデッキからアニメ○トのあるビルへと向かう。
「何買うの?」
「ヒロ○カの最新刊」
「ふーん……ゲームもやって漫画も読んで、よくそれで成績が保たれるよね」
「そうしないと、おねだりできないでしょ?」
「おねだりって……」
「いやいや、海の方が凄いからね? 母さんいつも完敗だし」
「それは俺の実力みたいな?」
そんな他愛もない会話をしながら、ペデストリアンデッキの上を歩く。ショップのあるビルはそのままペデストリアンデッキと繋がってるので、そのまま階段を降りずに入ることが可能だ。
そして入り口へ近付いた辺りで、見知った顔を見つけた。
「ん? 谷川くんかな?」
「え? 姉さんの友達? 嘘? 友達いないはず……」
「……それはそれでショックだけど、確かに友達ではないかも」
友達ではないと言ったけど、オンしたり、ゲーム談義したり、それなりに親しい間柄ではある。もちろん谷川くんにとっては私みたいな陰キャは雑草みたいなもんだろうけど。
彼も私に気付いたようで、軽く手を上げて近寄ってくる。隣には小さな男の子が一緒にいる。ははぁ、あれが弟かな。小学生だね。
「やあ」
私は谷川くんに声をかける。
「おう、奇遇――」
とが言いかけ突然固まった。隣の弟もそんな兄の姿を見て戸惑ってる。
「……? どうしたの?」
と言ったところで、視線が弟に釘付けになってるのに気付いた。あ、さては私みたいな陰キャがデートでもしてると思って驚愕してるのかな。
「あぁ、こちら、私の彼氏」
「――んなっ!?」
「姉さん?」
「ごめんなさい」
弟の凶悪な視線に耐えきれず、私は即座に謝罪した。
「俺は弟です、ごめんなさい。うちの姉が変なことを言って」
うちの弟がそんなことを言って、頭を下げた。
「あ、あぁ……弟か、そうか弟……弟?」
あれ? 何故そこで驚愕するの? そこは安心するところだよね?
「お前、こんなイケメンと一緒にエロゲーやってんの?」
あ、そこね、驚いたのは。そうだぞ、すごいだろ。むふふ。……あ、止めて、弟くんが殺す目つきで睨んでるから……とりあえず否定しないと後でぬっ殺される。
「あー、いや、違うよ。ギャルゲーだし。うん」
「いや、対して変わらんし……ってか、姉ものだよな?」
そこまで話したところで、今まで黙ってた谷川くんの弟が服を引っ張りながら――
「――兄ちゃん、行こう?」
「あ、そうだな、悪い。じゃ、またな」
そう言って、谷川くんは弟を引き連れて駅の方へ向かっていった。
「へぇ……弟思いで優しそうな人だね」
「んー。そうだね。学校では煩くてチャラいけど」
「え? そうなの? そうは全然見えないけど」
「私と話す時は普通な感じ。でも、私みたいな相手だし、合わせてくてるんだろうね。基本的にいい人だし」
「……そう?」
そして私たちはアニメショップへと向かう。
ビルに入り、エスカレータに乗ると、後ろに立った弟が呟くような声で一言。
「……弟とエロゲーやるって広めてるんだね」
あかん。これはあかんやつや。
「いやいや、だから、エロゲーじゃないって。全年齢版の――」
「後で、ちょっと話そう?」
「はい」