「小鬼、頭を上げて」

 頭を上げた小鬼と視線を合わせて、僕は気持ちをしっかりと伝える。

「きみが心配してくれたから、僕は自分の気持ちときちんと向き合えたし、きみが話を聞いてくれたから、僕は自分の至らなさに気がついたんだ。出過ぎた真似なんかじゃないよ。むしろ、心配してくれてありがとう」

 僕は膝をついたまま小鬼に頭を下げた。頭を下げられた小鬼はオロオロとしている。

「や、やめてくださいよ〜」

 僕は頭を上げると、小鬼に向かってニヤッと笑う。

「小鬼、明日もよろしく」

 それに応えるように、小鬼も全開の笑みを見せる。

「はい〜。本日はお疲れ様でした〜。では、また明日〜」

 小鬼はパチンと指を鳴らし、ターンをして姿を消した。