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『音楽に恋して』


第3回:『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ダイアナ・クラール』(ユニバーサルミュージック:UCCV-1099)

今回は女性のジャズシンガー兼ピアニスト、ダイアナ・クラールのご紹介です。
彼女はジャズ界のスーパースターで、男性からも女性からも人気のあるミュージシャンです。
グラミー賞を5回受賞し、8作品が全米ジャズ・チャートの1位に輝いています。

1964年にカナダのブリティッシュコロンビア州で生まれています。
4歳からクラシックのピアノを習い始めた彼女は、ジャズ好きな父親の影響を受けて、小さな頃からジャズを聴いて育ったそうです。
その後、超有名なバークリー音楽大学へ進学後、ピアニストとして地元で本格的なプロ活動を始め、歌手としての活動も始めました。
そして、活動拠点をニューヨークに移し、1993年にCDデビュー、1995年にメジャーデビュー(大手レコード会社から世界発売)を果たします。

その声は、とにかく、ハスキーです。
低音部分に特徴があり、落ち着きと奥深さを感じさせます。
そしてそれが、大人の女性の品のあるセクシーさを醸し出しています。

さて、今回のアルバムですが、ヒット曲満載のベストアルバムで、1996~2006年までの10年間の代表作を集めており、しっとりと落ち着いたバラードやとても聴きやすいポップな曲が揃っています。

では、曲順をご紹介します。

1:'s wonderful
2:peel me a grape
3:pick yourself up
4:frim fram sauce
5:you go to my head
6:let's fall in love
7:the look of love
8:east of the sun(and west of the moon)
9:i've got you under my skin
10:all or nothing at all
11:only the lonely
12:let's face the music and dance
13:the heart of saturday night
14:little girl blue
15:fly me to the moon

ガーシュウィン兄弟作の名曲『スワンダフル』から始まります。
シックでエレガントで、なんとも形容しがたい素敵な歌声と演奏に引き込まれます。

そして3曲目の『ピック・ユアセルフ・アップ』も素敵です。
原曲はアップテンポらしいのですが、彼女はゆっくりとしたテンポで諭すような歌声で「不可能なことはないわ。自信を失ってはダメ」と語りかけます。
間奏のピアノ演奏も短いですが素晴らしいです。

更に5曲目『ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド』がストリングスに導かれてしっとりとはじまります。
恋に夢中の女性の切ない胸の内が歌われます。
しみじみと心に沁みる素晴らしい歌声です。

6曲目は一転して明るい曲調になります。
『レッツ・フォール・イン・ラヴ』
歌もピアノもスウィングして心地良く、恋に落ちてウキウキしている女性の気持ちが軽やかに歌われます。

そして、待ちに待った7曲目が始まります。
『ザ・ルック・オブ・ラヴ(邦題:恋の面影)』
名作曲家バート・バカラックの代表作と言われている作品で、映画『007カジノロワイヤル』の主題歌として有名です。
ピアノとストリングスによるイントロに導かれてハスキーな低音で呟くように歌い始めると、余りに素敵すぎて吐息が漏れてしまいます。
もう、心と頭の中は彼女の声以外すべてが消え、ダイアナワールドの中に囚われたようになります。
ピアノ・ソロも含めて本当に最高です。

9曲目がまたしっとりとしてため息が出そうになります。
『アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン』
意味深なタイトル通り、素敵な男性を自分のものにしたい女性の想いが切々と歌われます。

それから、嬉しいことにライヴ録音が2曲収められています。
特に最後の曲『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』はフランク・シナトラが歌った超有名な曲で、最近は月に着陸したアポロ11号を題材とした映画の主題歌にも使われているようですが、ダイアナのピアノと歌が本当に素晴らしいです。
歌い始めた途端、大きな歓声と拍手が沸き起こり、観客と一体となっていきます。
とても臨場感があり、会場にいるような錯覚を覚えます。
それだけでなく、歌の最後の「you」の発音がなんとも言えず可愛らしくて、キュンとなってしまいます。

このCDは全部で14曲収められていますが、ほとんどがスローからミディアム・テンポの曲ですので、落ち着いてじっくり聴けるアルバムとなっています。是非お楽しみください。