その通りだ。だって、私がいるから、全て、全て壊れた。


 「あんたが……あんたがのうのうと生きてるのが嫌なの! 消えなさいよ……早く! 立ち去れ!!」

 「……ごめんね」


 ……妃海は、『風』の魔法使い。強い魔法使いは、使っている属性と一心同体と言ってもよい。
 その魔法使いは魔法の制御ができないほど怒ると、風も怒り、攻撃を始める。

 本棚に入っていた本や、セキチクというお花達が飛んでくる。私は避けない。避けてはいけない。そして、怪我ができる。それの繰り返し。


 「本当に思ってるわけ!? あんたは……お母様を奪ったのにも関わらず、のうのうと生きて……!」


 ……っ、ごめんなさい。でも、謝っても、許されないこと。


 「なんで……あんたが双子の姉なのよ……。あんたがいなければ。あんたがいなくなれば、今からでも、いなくなってくれれば、私も、───も幸せになれるのよ……! 出てって……お願いだから……!」


 ……───って、まさか、いや……───の名前を呼んだわけない、から。他の人かな。

 妃海の悲痛な心の声が私の心までをも突き刺す。


 「今日は出てくね……。ごめんね」


 ……すぐに部屋から出る。

 ……それにしても……妃海がこんな制御できないほど怒ったのはいつぶりだろう。……お母様が亡くなったとき、以来かな。

 でも、本当にこれが、感じた不穏な気配の正体? もっと、何か、違うものじゃ……。いや、考えたくもない……。