丁度、厨房の前を通りかかったとき。それは聞こえた。


 「ゆな! なんでそんなことするの⋯⋯!?」

 「だってっ! 負担が減る!」

 「ゆな、ここは統一しましょう? ほら、こっちの方が手間はかかるけど、いいものを作れる」

 「⋯⋯かなは一生分からないよ」

 「え?」

 「私は⋯⋯不良品だから、そんな凄いの、かなと違って作れないの!」


 ごめんなさいだけど、勝手に聞き耳をたてていると、2人とは程遠い『不良品』という言葉が聞こえてきたわ。

 ⋯⋯え? ゆなは不良品なんかじゃないのに。誰が、そんなこと言ったの? ねえ。


 「ゆな! だから、ゆなは不良品じゃない」

 「⋯⋯わかんないでしょ、そんなの」


 ⋯⋯分かった。多分、かなはゆなが好きで、ゆなと一緒に頑張りたくて。でも、ゆなは少しまだ実力が足りない。
 それでもしかしたら家族とかから何か言われてるのかもしれないわね。

 ゆなも、ゆなでかなが好きだから⋯⋯余計上手くいかないのかもね。