「では。皆様揃いましたので、ご挨拶をさせて頂きます」

 「お願いします⋯⋯!!」


 ⋯⋯拒絶されなかったから⋯⋯あばよくば仲良くしたい⋯⋯なんて高望みをしてしまう。


 「先程もご挨拶させて頂きました、水谷かなです」

 「かなの双子の妹の、水谷ゆなです」

 「私達は研修期間も含めまして、この仕事に就いて10年目となります」


 10年⋯⋯!? 同い年くらいに見えるのに⋯⋯。


 「そして、この御屋敷にいる使用人は私とゆなの2人だけです。何かあれば私かゆなになんなりとお申し付け下さい」

 「はい⋯⋯!」


 2人⋯⋯か。こんな広くて、装飾品が多くて、掃除が難しそうだからもっと何人もいそうなのに。相当2人が凄いんだなあ、と感嘆する。

 「妃彩、2人はなんとね、妃彩の2つ上なんだ。妃彩の誕生日が来たら1つ違いになるけどね。
 かな、ゆな、君たちと妃彩に仲良くして欲しい。君たちは差別とか⋯⋯1番嫌いだろう?」

 「もちろんです、妃彩様さえ良ければ」

 「はい、私も仲良くしたいです、妃彩様さえ良ければ」


 っ⋯⋯ぁ⋯⋯嬉しい⋯⋯嬉しい⋯⋯っ。


 「妃彩様!? なんで、泣いて⋯⋯大丈夫ですか?!」

 「⋯⋯大丈夫よ、晃」

 「「す、すみません、妃彩様」」


 確かに⋯⋯泣いたのは、2人のせい。でもね。


 「これはありがとうの、涙だから。⋯⋯仲良く、してください」


 そして、新しいメンバーと、新しい場所で、新生活は始まる───。