私も、多分雅哉さんと晃も……きちんと話したいことが話せないまま、茉奈様の部屋から退出する。


 「……妃彩、妃海のところへ行こう」

 「それはなぜ……っ!?」


 私よりも先に、晃の声が聴こえた。


 「……妃彩と妃海の二人が、一緒にいてほしいからかな。まあ、私的な理由だけれどね」


 ……妃海とは、『また会いましょう?』そう、約束でもないけれど……交わしたから……今は、まだ……。それ、に……恥ずかしいけれど、まだ……怖いのよ。仲良くしたいのに、拒絶されたら……って考えたら。


 「それは……妃彩様とお嬢様を無理矢理会わせて、妃彩様が心に傷を負うより大切でしょうか」


 え、あ、や、別に無理矢理じゃなくても、会うわよ……? 仕方ないのならば、だけれど……っ。


 「……わかった、やめておくよ」


 ……。ここで、ホッとしてしまった自分に嫌気が差す。


 「……柊咲羅って知ってるよね」


 あ、あの子っ。確か雅哉さんに拾ってもらった子、よね?


 「咲羅と、二人と、兄様のところへ行きたいのだけれど。両親はいいから、兄様へ挨拶を。駄目かな?」


 「え? ええ、もちろんいいわ」