「……雅哉様っ」

 「……なんだ」

 「雅哉様に王家の方針を決める権限など無いでしょう……!!」


 ……? どういうこと? 次男、でしょ?


 「……いや、あるぞ。兄は俺と仲が良いからな」

 「っ……」

 「それに……王家はお前らの悪行を知っている。
 逃げ道など無い」


 ……何が、行われているの?


 「……雅哉様……こ、これには、深いわけがありまして……っ」

 「ほう。述べよ。
 まあ、嘘をついていればすぐに分かる。そういう魔法も持っているからな。お前はここにきて嘘を重ねるのか? 最善の選択肢はなんだ? 考えてみろ」

 「っ……!!」

 「今度こそ本当に行くよ、妃彩」


 ……わからないうちに話が進んで、わからないうちに話が終わった。

 ……にしても、雅哉さん変わるの速すぎない!? ちょっと、怖いわ……。でも……。


 「護って下さって、ありがとうございます」

 「別に大丈夫だよ。……ほんと、無自覚の破壊力凄いんだから」


 私は、あの地獄から抜け出せて、嬉しくて、最後、何を言ったのかは聞き取れなかった──。