重い空気を取り払うかのように、飄々と割り込んできた見知らぬ少女。


 「……あの、私、(ひいらぎ)咲羅(さら)と言うんですけど……。雅哉ってどこにいるか分かりますか?」


 柊さん? え……っと……え、ごめんなさい。誰??


 「っっ、柊様」

 「え、お兄ちゃん、本物⋯⋯?」


 二人が驚いているけれど⋯⋯私はわからない。


 「……その……あなたは?」


 よく考えても……本当に知らないわ……。ごめんなさい。


 「申し遅れました。私の名前は……ってもう言いましたね。まあ、もう一度。柊咲羅です。雅哉に拾ってもらったものです。名家⋯⋯の生まれです、一応」


 えっ、名家⋯⋯!? なんで私分からなかったの!!
 失礼な事をしてしまったじゃないの⋯⋯。


 「大丈夫ですよ。私、妃彩様……妃彩さん……『妃彩ちゃん』と会ったこと、これが初めてなので〜」


 ……やっぱり初めてだったのね? 良かった〜……。
 それにしても……拾われたって⋯⋯。まあ、でも面倒見の良さそうな雅哉さんならありえるわね。

 ……って、どこにいるかよね。雅哉さんは、あちらにいらっしゃるけれど……。……ってあんな人集り、見ればわかるんじゃないかしら?! 凄い人よ、あれ。


 「ああ、あそこなんですねっ。ありがとうございます〜」

 「え? ええ、大丈夫よ。……どういたしまして」