「どうしたの?」

 「それが……兄さんの執事が来ておりまして、妃彩様には会わないほうがよいかと……」


 え? なんで?


 「……あんたが魔女?」


 え……? あ、もしかして、雅哉さんの執事さん……?


 「……そう言われているけれど、ちが──」


 違うわよ、と言おうとしたら、声が重なる。


 「去年の夏、魔女のせいで私の家は崩壊した。ねえ……どう責任とってくれるの……!?」


 ……ああ、そういうこと。(あかね)家の人なのね。だから、会わせたくなかったのね。茜家の方々は……私を毛嫌いしているから。


 「母さんも父さんも死んだ。ねえ、あんたにはわかんないでしょ!?」 


 ……わかるわよ。私だって、お母様を亡くしているもの。お父様には虐げられ、実の妹妃海にも……ね。


 「美雨(みう)様……!! 一度落ち着いて下さい」


 晃……別に、大丈夫なのに。これは、私への然るべき罰。受けるわよ。


 「落ち着いてられるか。あんたの、魔女のせいだ……!」

 「ごめんなさい。
 でも……私だって……したくてしたわけじゃない……。それに、あれは、私のせいじゃないの」


 「あんたのせいじゃなきゃ、誰……!」


 そ、れは……。言えない。でも本当なのよ。