「妃彩様、明日のご予定の事でお話がございます」


 川上、さん……?


 「来てくださいまし」


 ……え? だって、それなら晃に伝えるはず。……また、かな。


 「川上様、妃彩様のご予定でしたら私に」


 晃……川上さん、代々働いてくれてる一族の人で、しかも代々使用人さん達のトップなのよ? 変なことしたら……やばいでしょ……。


 「いえ、私がご本人にお伝えしますゆえ、ご安心を」


 ……いつもは、ここで引き下がってたんだけど。今日は、違うのかな。


 「……大丈夫よ。川上さん、あっちへ行きましょう」


 つい、手を取って、談話室の方へ行こうとする。


 「触るな!」


 「ぁ……ごめんなさい」


 この二日間、魔法が使えない身というのも忘れてはしゃいでいた天罰よね。私は、嫌われて当然なんだから。触られたら、魔法が人一倍……人十倍使える川上さんが……汚れちゃう。
 ……なんで、そんな当たり前の事忘れてたの、私。


 「……談話室で話しましょう」


 それだけ言って、私はうしろを見ずに歩きだす。