「……妃彩様、行くのですか……?」

 俺のせいだ。でも……行ってほしくない。どの口が、そう思われてもいい。……妃彩様が傷付けられるのを、見たくない。

 「……ええ。朝食を食べたら、すぐにでも。父が帰ってくる前には……部屋に戻るから待っててね」

 「……はい」

 彼女からは、強い意思が感じ取れた。

 「お嬢様は……っ、魔力がお強い。何かあれば、妃彩様が……!」

 「大丈夫」

 「……」

 「……食べ終わった。……妃海の所へ行ってくるわ」

 「……お気をつけて」

 結局、俺は、何もできない。弱いままだ。