《晃 side》


 俺も、生まれてくることを、祝福されていない。つまり、妃彩様と似たようなものだ。だからかはわからないが……妃彩様の存在を知っていた。


 ───コンコン


 「失礼します」


 別に、執事をすればいいんだろ? と思いながら入室。

 ……俺は、彼女に目を奪われた。

 銀色の髪に、藍色の瞳。綺麗な鼻筋。紅い唇。……これが、一目惚れ、なんだろう。


 「はっ、はい……!」


 「え〜……
 俺が新しく執事になった本田晃です。

 あ、最初に言っとくと、
 あんたの悲劇のヒロインぶってるの、嫌いなんで」


 確かに嫌いだ。でも、ほんの少ししか思っていないことを言ってしまった。
 ああ、自分が一気に嫌いになった。一目惚れした相手にそんな事言うなんて。


 「……そ、そっか」


 「……なんで、」

 そんな、境遇を、認められるんだ? 普通、悲しくて、そっか、なんて言えないだろ……? 認められない、のが普通だろ?

 「いえ、なんでもないですっ」

 ……流石に、言えない。

 「……?」