「失礼します、妃彩です」

 「おいで」


 ……お母様のような、距離感の詰め方。


 「では、行かせてもらいます」

 「晃くんもね」

 「……はい」


 「私からね、二人に言っておきたい事があるの。
 ───私は、いつでも二人の味方だからね、って。
 でも……ごめんなさい。私は、妃彩ちゃんが虐められているのを……助けられなかった。
 ここから追放されて、警察にも捕まるのを考えたら……できなかったの……。
 本当に、ごめんなさい……」

 「え、いや、そう考えてくれるだけで、嬉しいです……! ありがとうございます」


 きっと、魔法が使えない私に対して、そんなふうに考えてくれるのは茉奈様だけでしょう。


 「晃くん、君にも言いたいことがあるかな。……妃彩ちゃん、席を外してくれる?」

 え?

 「はい、」

 ……なんだろう? まあ、でも、晃と二人ってことは、それだけ重要なこと。私は今すぐ退出するっ。