あれは、十三歳のとき。

 使用人さん達からも、お父様からも虐げられていたわ。
 まあ、物心つく前からなんだけどね。私が気付いていなかっただけで。あと、それが普通だと思ってたからね。気付きにくかったの。


 お母様からのお誘い。


 『妃彩、妃海、ピクニックへ行きましょう』


 最初は、普通に庭で食べるだけかと思った。


 『え、お外で食べるの??』

 『前ね〜、川の近くで食べたんだ〜』

 『そうねえ……妃彩も川の近くで食べたい?』


 でも、家から抜け出して食べることを知り、未来をまだ知らぬ私は答える。うん!、と。


 『じゃあ、行こっか』


 ……なんで。お母様……っ。こうなるのは、分かっていたんでしょう? もちろん、最悪の事態として、だけど……。


 『奥様! 一体どこへ行くのです?』

 『この子達とすこーしね。大丈夫よ、安心して』


 嘘、でしょう? 大丈夫なんて。安心できないもの。外に、魔法を使えないものを連れて行くなんて。


 『妃彩を連れて行ってはいけない、というのはあなたもご存知ですよね!?』

 『え、ええ。もちろん。でも、妃彩は外に出た事がなく──』

 『それが、普通なんです。それ以外が、異常なんです』