「ただいま」


 っ、ぁ。


 「「「「「おかえりなさいませ」」」」」

 「ただいま」

 「「「「「奥様もおかえりなさいませ」」」」」


 総勢6名の我が家の使用人さん達は、晃を除いて息ピッタリすぎる。
 晃は、無言で、奥をずっと見つめ続けている。


 「妃海、おいで。お土産だよ」

 「お父様……! ありがとうっ」


 ……。


 「妃彩は……書斎で待ってなさい」

 「……はい」


 書斎、か。久しぶり。……懐かしい、なぁ。お母様がよくいらっしゃった場所だから。私と妃海もよく行っていたわね……。

 私達は、お母様が大好きだから。もちろん、今でも。きっと、妃海もそうだわ。あの子の双子の姉だから……よく分かる。
 まあ、きっとあの子は否定するんでしょうけど。


 これが不穏な気配の正体?



 「妃彩、お父様のところ行ったら、私のところに来てくれる? お話があるの」


 茉奈様? お話? 一体、何の……。


 ……これが不穏な気配? わからない……。


 「……わかりました」