「お嬢様っ」


 「晃、部屋……の前にいたのね」


 言いつけは守ってくれた、でいいのかしら? 厳密に言えば部屋……ではないけど……。


 「大丈夫でし……怪我が…!!」


 あぁ……妃海の風の加護か。ちょっと、怪我してるもんね。


 「……今すぐ手当てを始めます。お部屋の椅子にお座りください」


 どうしたのかしら、そんな暗い顔をして。


 「……お顔に傷が残るかもしれません」


 ……そんな、酷いのかしら……。
 わからない。私は、怪我とか、そういう感覚がないから。生まれつき。


「大丈夫よ。痛くないし」


……顔が変でも、妃海達は、気にもしない。大丈夫よ。晃が怒られることなんて、ない。


「……終わりましたよ」


……え?


「早くない?」


だって、今まで治療してくれた人は、軽く、だけ。いやいやだったけど……3倍はかかってたのに……。


「少し魔法を使わせて頂きました。私……治癒に特化した魔法使いなので」


……治癒? あまり聞かない、けど。確か、治癒魔法戦う人が多く使っているかな。
あ、別に自分の体質が例えば風、水、炎、治癒、などなどに適しているだけで、別に他のもできるの。
ただ、炎の使い手は水を使う人が少ないのよ。反対すぎて、できないの。
だけど、体質が治癒魔法の人は……治癒一点しかできない。だから……魔法差別が起こっているの。言い方からして、晃は、きっと、体質が治癒魔法なのね。