思いもよらない告白に、一糸先生と顔を見合わせる。

「……お前が情緒不安定なせいでバレたじゃん、ふぅ最悪」
「ちょッ――!」

またこんなタイミングで! しかも人のせいにするとか。相手が一糸先生じゃなければ、そして振り出しへ戻る、だ!

「スタートから猫かぶってるほうが悪いんじゃないですか。私だってモッさ――あの時の人が一糸先生だったなんて、未だに信じられませんけどっ!」
「榎本は『似てる』って言ってたぞ」

2人でいがみ合っていると、高らかな笑い声と2本のコーヒーが割って入った。

「ウチの名推理に乾杯とかしちゃう?」
「しねぇよ」

一糸先生に一刀両断され、今度はカンナが凍りつく。青みがかった髪が陽の光で淡くきらめいて――うん、よく似合ってる。

「……口わっる! こんな春先生ヤダー!」
「カンナ、これが平常運転だよ」

たしかに口は悪いし、第一印象も最悪だった。だが、最悪な出会いではなかった、と今は思える。


カンナとはいつか、一糸先生が話してくれた違う形の“しんゆう”になりたい。