「カンナー! こっちあと2つ!」

先生と一緒にゴールした流れで昼食の配布を手伝っていた時、陽平が大きく手を上げながらカンナを呼んだ。側には要と、例の3人組――。

カンナは何食わぬ顔で駆け寄っていたが、端から見ていた私は、3人の瞳が歪む瞬間をはっきりと認識できた。


べつに、大騒ぎするような話ではない。まだ何も起こっていないし、自分のこれまでの経験が“可能性”を察知しただけ。

ただ、好きな気持ちを間違った方向へ向ける人や、違う形で表現する人は確かにいる。そして、台風の目になり得る人がいれば、その台風で被害に遭ってしまう人も必ずいる。

たとえ傲慢だと言われようと、私は、自分が大切にしているモノを他人に傷つけられたくない。

それだけは絶対に、許さない。