翌日、大家さんに言われた。
「黄瀬さん、立ち退き願えないかな?」
、、、ついに来たか。
「どうしてですか?ちゃんと家賃も払っているし、問題も起こしていないのに、、、」
「実は、君の保護者と名乗る人から連絡が来て、引き取りますって言われたんだよね。今まで目を瞑っていたけれど、未成年一人じゃちょっとね、、、」
保護者?数年前に亡くなったけど?
「そういうことだから、明日までに用意してくれれば良いからさ」
 それだけ言い、大家さんは帰っていった。
静かになった部屋を見渡す。
あまり物は置いていない。最低限の物は持って行くとして、家は、、、野宿覚悟しよう。
 大家さんが持って来た段ボールに制服や通学鞄、日用品。リュックにパソコン、仕事道具を詰める。
片付けられた時には、もうすでに夕方で、持ち出す物は段ボールとリュックだけになった。
両親の写真も入れる。
「家、、、探さないと」
ネットで検索しても、良い物件は見付からない。
学校から遠かったり、家賃が高かったり、、、。

『こっちで住みな』
「良いの?」
 ダメ元で葵に聞けばすんなりオッケーしてもらえた。
『良いよ。元々引っ越すように仕向けたの僕だし』
「、、、え?」
 曰く、昨日聞いた私の生活話で心配になり、なら同じ家に住めば解決!と、なったらしい。
 それにしても行動が早すぎる。
『学費は僕が出す。その代わり、手が必要になったら店の方を手伝ってくれる?』
「そんなので良いの?」
『良いよ』
「ありがとう!」
『茜も住むことになったから、、、そこは大丈夫?』
「何で?」
 茜は生活に困っていないと思うんだけど、まさか、、、
『千鶴の引っ越しのことを話したら「俺も住む」って、今住んでいた家を売り払って来やがった』
「え、、、馬鹿?」
『だよな』