「……あの、ゴメン。展開が早すぎて、頭の中整理できてないんだけど」

「うん、大丈夫。これからゆっくり考えてくれればいいから」


気の利いた言葉を返せない僕に、更に親切な言葉が返ってくる。

めちゃめちゃいい子なんだな。

……こんな子が僕を想ってるなんて、本当に夢じゃないよな?


「……僕はそんなに面白い人間じゃないよ?」

「そう?初めて話したけど、面白いし、藤原君の事をもっと知りたいなって思ってるよ?」

「……桜木さん、すごいプラス思考だね」

「好きな人の彼女に昇格するためにはマイナス思考ではいられないよ?」


彼女はそう言ってクスクスと笑った。

多分、そんなに時間をかけないうちに、彼女に惹かれてしまうんだろうなって瞬時に悟った。

桜木さんのペースにハマるビジョンしか見えないし、彼女には適わないんだろうな。

さっき彼女が言ってたような、サイダーみたいに弾ける感覚ってこういう事なのかもしれない。


「……そっか。じゃあ、精いっぱい努力しますので、これからどうぞよろしくお願いします」

「もちろんです!こちらこそよろしくお願いします!」



夏休みは始まったばかり。

キミとこの場所で、少しずつ時間を重ねていこう。

きっと、今日よりも明日はキミへの想いが強くなっているから……。