「でも、受験の時から時間がたちすぎてたし、声をかける勇気もなくて、毎朝ただ後ろ姿を見つめるだけの毎日で。二年になって同じクラスになれたから、話しかけるチャンスできたって思ってたんだけど……藤原君、仲いい人といつも一緒にいて、それ以外はクールだったから、話しかけにくくて……」

「さっきも言ったけど、僕は人見知りで、仲いい人の前以外は無になってる事が多いから……」

「うん。だから、何とか話しかけられないかなって思ってたら、今日、こんなラッキーな状況になって……」

「……そっか」


桜木さんがそんな事考えていたなんて思わなかった。

いつも楽しそうにしてるなって思ってたけど。


「私、藤原君の事がずっと前から好きでした。今すぐは無理かもしれないけれど、そういう対象で私の事、見てもらえたら嬉しいな……」


彼女はそう言って少し頬を赤らめて微笑んだ。

人生の中で、こんなマンガみたいな事が起きるとは思わなかった。

そういう対象で見てもらえたら嬉しい……って、可愛い表情でそんな事言われて、ドキドキしない奴がこの世の中にいるのか?!

借りたハンドタオルを握りしめて、僕は口を開いた。