その夜から不採用通知が届く夢を毎晩見るようになり、夜中に汗びっしょりになって飛び起きた。それが現実ではない事に気づいて新しい下着とパジャマに着替えながら、〈あぁ、夢だったのだ〉と毎回安堵した。
 そんなことが6晩続いた日の午前中、会社から手紙が届いた。ただ宛先が書いてあるだけのそっけない封筒だった。
 封を切るのが怖かった。〈誠に残念ではありますが〉とか〈ご希望に添えず申し訳ありません〉とか書かれていたら最悪だからだ。ハサミを持ったまま開けるのをためらい続けた。
 しかし、いつまでもそうしているわけにもいかず、恐る恐る封を切ると、三つ折りになった紙が出てきた。広げると、恐れていた文字はどこにも見当たらなかった。
 あ~、
 体の奥に溜まっていた凍った不安の塊が飛び出してきて、口から出た瞬間、それは蒸発して消えていった。
 やった……、
 両手を首に持っていくと、皮一枚で頭と体が繋がっているように感じた。