*  *
「写真と……随分違いますね」
 わたしの頭と写真を見比べて、一次面接の担当者が驚いていた。
「覚悟を決めてきました」
「覚悟?」
「大学時代の甘い考えを断ち切る覚悟です」
「そうですか」
 面接官がもう一度わたしの頭を見た。その目は笑っていなかったので真剣に受け止めてくれたように思えた。しかし、大した質問もされないまま呆気ないほど短い時間で面接が終わったので、一気に不安になった。真剣に受け止めてくれたのではなく、バカじゃないかと思われたのではないか、覚悟の浅さを見透かされたのではないか、そんな気がしていたたまれなくなった。家に帰る足取りは重かった。