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 幸運なことに書類選考を通過し、一次面接の通知が届いた。わたしは小躍りして、その通知を何度も穴が開くほど読み返した。すると、ある決意が体の奥底から湧いてきて、居ても立っても居られなくなった。
 行きつけの床屋へ急いで行ってその決意を店主に伝えると、店主は「本当にいいんだね」と確認した。わたしが大きく頷くと、店主が持つハサミが、肩まであった長髪をバッサリと切った。その瞬間、髪と共にレコード会社への未練が床に落ちたような気がした。
 店主がバリカンに持ち替えた。あっという間に丸坊主になった。中学生以来だった。