ある程度落ち着き出すと、自分の身体に痛みを感じないどころか包帯等の手当すらもされていないことに気が付いた。

 車に轢かれてその衝撃で遠くに飛ばされたような記憶があり、頭は血を出しており身体中が痛かったように記憶している。

 ひなのが一人で状況をつかめずにいると男性が話し出した。

 「驚いたよね」

 さっきとは違い優しい声で男性は、ひなのにそういうとのだが、ますますひなのは分からなくなってしまい頭の中がパニックになってしまう。

 ひなのは、ベッドから起き上がると男性は、ひなのに起きたことを説明してくれたのであった。

 まず最初に男性は自分がどんな人物なのかを教えてくれた。

 「僕の名前はゼロといいます。死神です」

 「し、死神ー」 

 ひなのは驚いて後退りをしてしまいベッドから落ちそうになるのをゼロが支えてくれたのでした。

 この場所は、死者が死後の世界に立ち寄るメイカイドウという建物の一室であるということ、佐々木ひなのつまり私は車に轢かれてひどい怪我をおって命を終えるはずだった。

 しかしそれは第四部というところに居る人のミスにより本来終えるはずではない私の寿命と間違えてしまったというのである。


 本来は私のことを轢いた人が寿命を終える予定であったのだそう。


 つまり、死後の世界に私の魂だけを持ってきていてこの世にいる私は病院のベッドで眠っているのだという。

 水晶体のようなものでその様子を見せてくれたのであった。

 「ベッドに眠っているが君だよ。見えるかい」

 「はい。見えます」

 そこには包帯等を巻かれて酸素マスクをされている私が確かに眠っていたのであった。

 ざっとこんな感じに説明をしてくれたのであったが男性が深呼吸をすると、ひなのにある提案を投げ掛けたのでした。

 「君に、死神の手伝いをして欲しいんだ」

 突然の提案にひなのは驚いてしまう。

 「わ、私がですか……」

 「突然の提案に驚くのはわかる。君の身体と魂を戻すには人間界の期間で数ヶ月程かかるんだ。僕は第五部と呼ばれる部署で活動していて、その部署の人員が少なくて困っているんだ。君は特殊なケースでその僕たち死神のようにこの世とあの世を行き来することが出来るんだ。その間だけで良いんだ。ダメだろうか?」

ひなのは、ゼロの断りきれない圧に押されて第五部で活動していてことになったのでした。