どう見ても、シャルルのような良い家柄の人が住んでいるような雰囲気を感じることが出来ないので思わず、シャルルに聞いてしまうルーナ。

「本当にここでございますか?」

「もちろん」

シャルルは、自信ありげにルーナに言ってくる。

「あ、忘れていたよ」

そういうとシャルル様は、ポケットからネックレスを取り出した。

「これはなんでございますか?」

ルーナはシャルルに尋ねました。

「これは、魔法のネックレスだよ」

そういうと、シャルル様がネックレスを着けてくれました。

月の形を型どった青色に輝くネックレス。

「綺麗」

ルーナの方を向きながらシャルルが話します。

「君の名前をイメージして作ってもらったんだ」

私の名前のルーナは、『月』を意味するのである。

「ありがとうございます」

ネックレスから目を離し、再び屋敷をみると、先ほど異なり、綺麗な屋敷に変わっていた。

(どういうことなのだろう?)

屋敷の回りを何か緑色の何かが囲っているのが見える。

「ルーナ、これが本当の屋敷の姿だよ。僕の魔法で他の人たちには、少し古びてみえるだけなんだよ」

「そうなのですね。あのシャルル様、この緑色の物はなんですか?」

「それは、結界だよ。さあ、そろそろ中に入ろう」

シャルルは当たり前のようにそういうのでルーナは呆気にとられました。

「そうですか…」 

門が開かれると、屋敷まで続く道を歩き、玄関を開けると、そこには、一人の年老いた男性が立っていました。

「おかえりなさいませ、シャルル坊っちゃま」

「ああ、戻ったよ。エドモンド、二人は?」

そういうとシャルル様は、その男性を近くに呼びよせる。


「二人は、買い物に出掛けており留守でございます」

「そうか。まず一人だけ紹介することにするよ。彼は、執事のエドモンド。僕の身の回りのことをなんでもしてくている人で、実は彼も魔法を使うことができるんだよ。そしてあと二人メイドがいるのだけど個別でルーナに挨拶するように言っておくよ」

エドモンドと呼ばれた、その男性に会釈をするルーナ。

「はい」

「こちらは、ルーナ」

彼の姿をじっくりとみてしまう。

年を取っているが、背筋が伸びるていて、黒色のタキシードに髪の毛は白髪で片目には、小さな眼鏡をしている。

気品が溢れていて、優しそうな雰囲気が伝わってくる。

「はじめまして、ルーナ様、お目にかかれて光栄でございます。執事のエドモンドでございます」

ルーナも後に続いて自己紹介をする。

「今日からこのお屋敷で暮らすことになったルーナと申します。よろしくお願いいたします。エドモンド様」

「私の名前は、エドモンドでよろしいでございますよ。ルーナ様」

でもそれではと思い、ルーナは少し悩んだ後にいいました。

「それでは、失礼にあたります。もしよければ、エドモンドさんとお呼びしてもよろしいですか?」

「承知いたしました。ではその呼び名でお呼びになってください」

「はい。ありがとうございます」

紹介が終わると、シャルルとエドモンドが少しの間、会話している。

(メイドのお二人は、どんな人なのだろうか?)

楽しみが膨らむルーナ。

玄関ホールを見回す、綺麗にホコリもなく汚れていない床や階段の手すりをみて圧倒されるルーナ。

「ルーナ、二階に行こう」

シャルルがルーナにいいました。

そのあと、エドモンドさんと別れて、シャルル様と共に階段を上り、私の部屋までいくことになった。

歩きながら、シャルル様が話してくれた。

シャルル様によると、この屋敷はシャルル様の魔法で守られており、先ほどの結界?というもので人間には、古びた屋敷に見えるが、人間以外のつまりこの魔法にかかっている人には、綺麗な屋敷に見えるのだそうだ。

魔法をかけているのは、妙なものを寄せ付けないようにするために魔法をかけているそうだ。

「着いたよ。ここが今日から君の部屋になる場所だよ」

扉を開くと、天蓋のついた大きなベッドの横のテーブルにはランプが置かれており、ドレッサーや棚が備え付けられていて、窓の近くには、丸いテーブルと、一人用のソファがある。

「どうだい?」

息をするのも忘れてしまいそうなるほどに素敵な部屋だった。

「素敵です。とても素敵です。シャルル様」

「こんなに喜んでくれるなんて思っていなかったから嬉しいよ」

「あの、ベッドに座ってもいいですか?」

「もちろんだよ、君の部屋なんだから」

そう言われると、すぐにベッドに座ると、とてもフカフカしている。

部屋を見渡す。

(今日からここが私の部屋なのか。教会にいた頃は、ベッドと小さな机だけしかなかった)

あんな暮らしからこんな暮らしができるなんて思いもしなかったルーナ。

「疲れただろう、しばらく休むといい。この服は、次の日にでも着るといい」

そういうと、シャルル様はテーブルに箱を置いた。

「本当にありがとうございます。シャルル様」

シャルル様は、微笑んでくれた。

「じゃあ、僕も自分の部屋に戻るね」

私は立ち上がると、シャルル様は、部屋から出ていった。

シャルル様が出ていくと、テーブルに置いてある箱のもとへと近づく、あのムーン横丁で購入してくれたものだろう。

開けてみることにすると、暗めの赤色のワンピースが入っており、リボンも着いている。

「素敵」

(こんな贈り物までくれるなんて……)

外が暗くなり始めてきた頃、扉をノックする音がする。

「はい」

扉が開くと、一人の可愛らしい栗色で少し長めの髪の毛を後ろ手結んでいる女性が立っていた。

「ルーナ様、初めましてこのお屋敷でメイドをしているリリーと申します」

「初めまして今日からこのお屋敷で暮らすことになったルーナと申します。これからよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたします」

リリーというメイドの人は優しくルーナを受けていれくれたのでした。

「ルーナ様、夕食の準備が出来ましたので呼びに参りました」

「そうでしたか」

「ルーナ様、参りましょうか」

「はい」

ルーナは扉を閉めると、食堂までの道をリリーとともに歩いていく。

ルーナは、聞いてみたことを思いきって質問してみることにした。

「あ、あの、もしかして、リリーさんも魔法が使えるのですか?」

リリーは少し驚いた表情を見せたが嫌な顔をせず答えてくれた。

「いえ、私は魔法は使えません、私の両親は魔法を使えますが、それでも、シャルル様はこんな私を雇ってくださいました」

「そうなのですね」

「実は、もう一人メイドがいるのですが、明日にでも紹介出来ればと思っております」

「そうなのですね」

もう一人のメイドの人はどんな人なのだろうかと楽しみなルーナなのでした。

話をしているうちに、食事をする部屋に着いた。

「ルーナ様、こちらでございます」

「ありがとうございます、またお話聞かせてください」

「はい、こんな私のお話でよろしければ」

リリーさんが、椅子を引いてくれて、席に着いた。

少し長めのテーブルに真ん中に花が飾っていて、フォークやナイフが並べられている。

少しすると、シャルル様がやって来た。

「お待たせ、ルーナ」

そういうと、エドモンドさんが、シャルル様の椅子を引き、シャルル様が椅子に座ると、料理が運ばれてきた。

最初に前菜が運ばれてきて、チーズのようである。

ひとくち、口に運ぶ。

(美味しい)

「どうかな?口にあうかい?」

シャルル様に尋ねられる。

「とても美味しいです」

「それはよかった」

次々と料理が運ばれてくる。

最後にデザートが運ばれきた。

始めてみる食べ物だ、形は三角に切られている。

「シャルル様、これは何と言う名前の食べ物でございますか?」

「それはね、アップルパイといってリンゴが使われているスイーツだよ」

「そうなのですね」

ひとくち、口に運ぶ。

「美味しい、シャルル様、とても美味しいです」

今まで食べたものの中で、一番好みの味である。

「ルーナは、アップルパイがお気に召したようだね」

「はい。とても」

その後、シャルル様との話を終えると、部屋に戻りる。

今日も日記を書く。

『今日ようやくフルスに着いた。シャルル様に月の形を型どったネックレスをいただいた。とても綺麗で大切にしていきたい。中にはいると立派な屋敷で自分の部屋まであり、その部屋も綺麗で家具も何もかもがこだわりが詰まっている部屋だった。執事のエドモンドさん、メイドのリリーさん、二人ともとてもお優しそうで、素敵な人たちだった。早くもう一人のメイドさんにお会いしたいなあ』

日記を書き終えると、ベッドに横になる。

今日は、色々な出来事があった。

ルーナは、新しい人々と出会った。

こんなに温かく受け入れてくれるなんて思わなかったけれど、受け入れられたと感じられた瞬間、本当に嬉しかった。

そんなことを考えているといつの間にか眠りについていた。