あのような出来事があったがその後も変わらず平穏に過ごしていたルーナ。
あの後、シャルルが書庫の部屋から出ていくとルーナは書庫の部屋に留まり他の医学書の本を探してみるがやはり見つけることは出来なかった。
この出来事は、忘れようと決めた何故なら考えているとあの時の冷たく冷静な男性の声が思い起こされるからである。
もしかしたら、あの声は夢の中の出来事かもしれないからである。
シャルル様は、最近よく家を留守にすることが増えている。
シャルル様に聞いてみると、貴族の方々が沢山契約を結んでくれたため仕事で忙しいというのだが……
だからといって寂しいわけではない、リリーさん、リナーさん、エドモンドさんも屋敷にいてくれているわけであるし……
寂しくない……はずなのに
……本当のことをいうととても寂しい。
もちろん仕事なのだから仕方がないということは分かっている。
気を紛らわせようと、本を読むことにした。
しかし、なかなか本の内容に集中できない。
他のことをしようと椅子から立ち上がる。
扉を開けると、ちょうどリリーが前から歩いてくるのが見える。
一度、部屋に戻るとあるものを手に取ると再び廊下に出るとルーナはリリーの近くに歩いていく。
「リリーさん、こんにちは」
「こんにちはルーナ様、どうかなされましたか?」
「リリーさんは、今は何をなさっていたんですか?」
「先ほど、廊下などの掃除を終えたところでございます」
「そうなのですね。今はお時間大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫でございます」
ルーナとリリーは場所を移動すると、椅子に座りリリーを見ると少し不安そうな表情をしている。
ルーナは姿勢を正すと話し始める。
「リリーさんにお願いがありまして、実はリナーさんにリリーさんが編み物が得意だとお聞きしたのですが私にも教えていただけないかと思いまして……」
リリーさんは、驚いた表情をしていた。
「はい。編み物は出来ますが…」
「これなのですが……」
ルーナは、手に持っていた本をリリーに見せる。
「一度、編んでみたのですが、上手くいかず悩んでいたところ、リナーさんに聞いてそれならば教えていただこと思った次第です」
「そうだったのですね。私はてっきり何か自分が何か失敗してしまったのかと思ってしまいました。私の勘違いでございました」
「いえ、私も少し深刻そうに話してしまいましたね」
リリーはその本をページの内容を見るとルーナに話す。
「これなら、簡単に出来ると思いますよ」
「そうですか!」
ルーナの顔が明るくなっていく。
何故ルーナが編み物の本を持っているかというと以前、エミリオが訪問してくれた時に荷物の中にこの本が入っていたのである。
「編み物か……」
ルーナは、少し残念そうに呟きました。
ある日のこと、いつも同じ場所ではと思い、気分を変えようと廊下に置かれている長椅子に座ってその本を見ていると、廊下からリナーがやってきた。
すると、リナーはルーナの姿を見つけるとルーナに尋ねました。
「ルーナ様、何を読んでいらっしゃるのですか?」
「リナーさん、今は、編み物の本を読んでいました」
「編み物でございますか」
「このように絵で描かれているのですが、このようなものを作れる人は素敵だと思いながら見ていました」
ルーナは、リナーに編み物の本のページをみせました。
「そうでしたか。失礼いたします」
そういうと、ルーナの隣にリナーが座りました。
「はい。私思ったのですが、物語の世界ももちろん素敵なのですが、本以外の違う趣味も増やしてみるのも良いのかなと考えていまして…」
「良いの考えだと思いますよ」
「そうですか!リナーさんこういう編み物のセットってどこのお店で購入できるのですか?専門のお店などでしょうか?」
ルーナはリナーに尋ねました。
「それならば、私の編み物のセットを持っているのですが……」
「本当ですか!」
「持ってきますので少しお待ちになっていてください」
そういうと、リナーは長椅子から立ち上がり、部屋に戻っていきました。
しばらくすると、リナーが戻ってきました。
「ルーナ様、こちらでございます」
ルーナは、リナーから缶に入った編み物のセットを受け取ります。
「空けてもよろしいですか」
「もちろんでございます」
ルーナは編み物のセットをあけるとその中にはかぎ針が数本と編み用の糸、ハサミが入っていました。
「ルーナ様、よろしければルーナ様にお譲りいたします」
「いいのですか。ですが……」
ルーナが悩んでいるとリナーはいいました。
「私は、不器用なため上手く道具を使いこなせませんでした。道具も誰かに使ってもらった方が喜ぶと思いますので是非もらってください」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」
「はい!ルーナ様」
このような経緯があったのである。
そして現在はというとルーナは一度、自分の部屋に戻ると編み物のセットを持ってリリーとルーナは談話室に移動した。
ソファに座ると、リリーは自分専用の編み物セットから刺繍糸とかぎ針を用意すると本に載っているものからある花を選びました。
「ルーナ様、まず一つ作ってみますね」
「はい」
そういうとリリーは作り始めました。
その手さばきはまるで職人技でした。
ルーナは夢中でその姿を見ていました。
何を作っているのだろうか。
そう思いながら出来上がるの待つルーナ。
しばらくすると、リリーは一つの花の作品をあっという間に完成させてしまいました。
ルーナはとても驚きました。
「出来ました。ルーナ様」
リリーはルーナに完成した花の作品をみせてくれました。
自分がやったときは、何度もやり直しては何時間も掛けてやった出来上がったと思い完成品を眺めると、どこか不格好で綺麗な形ではなかったのです。
しかし、リリーが作った物はとても綺麗に編まれているではありませんか。
「綺麗に編まれていて素敵なバラの花でございますね」
「そんなことを言ってくださりありがとうございますルーナ様」
リリーは恥ずかしそうに顔を明らめました。
その後、ルーナはリリーにやり方を教えてもらいながら編み始めました。
「これは、このようにすれば良いのですか?」
「これはこうすればよいのでございますよ」
「本当ですね、出来ました。ありがとうございます」
楽しい時間が談話室を包んでいます。
ふとルーナは談話室の時計を見ると随分時間がたっているのに気がつきました。
ルーナはリリーにいいました。
「リリーさん、もうこんなに時間がたっていたのですね」
リリーもルーナに言われ時計に目をやると驚いた様子でいいました。
「本当でございますね。こんなに時間がたっていたなんて思いませんでした」
「楽しくてつい時間を忘れてしまいますね」
「そうでございますね。ルーナ様」
「そろそろ、お開きにした方がいいですね」
「そうでございますね」
「今日は、教えてくださりありがとうございました」
「いえ、とても楽しかったでございますよ」
ルーナはリリーに尋ねました。
「また一緒にやってくださいますか。それまでに今日教えていただいたところを少しでも出来るようにしておきます」
「もちろんでございますルーナ様。私もまた一緒に出来ればと思っておりました」
二人は、微笑み合いました。
リリーとルーナは編み物セットを片付け終わると、談話室を出ました。
「では」
「はい。では」
リリーは、一階に向かって廊下を歩いていきました。
ルーナはというと、自分の部屋に戻るため廊下を歩いていました。
廊下を歩きながら、ルーナは部屋に戻ってからのやることを考えました。
部屋に帰ったらまた先ほどの編み物の続きをしよう。
部屋に着くと、机に編み物セットを広げていきます。
私は、先ほど作ってくれたリリーさんの作品をお手本にしていきます。
やはり本の絵だけではわからない糸の方向などの細かいところの細部まで見ることが出来ます。
本当にリリーさんは何でも出来て尊敬することばかりです。
色々な花の小物が机に並んでいます。
これは、バラで、これはデージー、これはチューリップなどがあり、そしてラベンダーである。
ラベンダーを見てルーナはあの花畑で見た風景を思い出していました。
それは、ルーナとシャルルが水の都フルスに帰る道中で見つけた花畑。
ルーナは、ラベンダーという花をそこで始めてみて素敵だと感じ、ルーナはいつしかルーナとシャルルを繋げた思い出の花になり忘れられない思い出の一ページになっていたのでした。
ルーナは引き出しを引くとあるものを取り出しました。
それは、宿に隣接する土産屋でシャルルからプレゼントされた乾燥したラベンダーが入った小瓶であった。
ルーナはそれを机に置くと、先ほどまでやっていた編み物に戻る。
一人で初めて作ったときに比べてリリーさんに教えてもらったお陰で少しは形が出来てきているように感じる。
「でも、難しいな、でも、楽しいな」
その日、ルーナは沢山の小物を作り続けました。
あの後、シャルルが書庫の部屋から出ていくとルーナは書庫の部屋に留まり他の医学書の本を探してみるがやはり見つけることは出来なかった。
この出来事は、忘れようと決めた何故なら考えているとあの時の冷たく冷静な男性の声が思い起こされるからである。
もしかしたら、あの声は夢の中の出来事かもしれないからである。
シャルル様は、最近よく家を留守にすることが増えている。
シャルル様に聞いてみると、貴族の方々が沢山契約を結んでくれたため仕事で忙しいというのだが……
だからといって寂しいわけではない、リリーさん、リナーさん、エドモンドさんも屋敷にいてくれているわけであるし……
寂しくない……はずなのに
……本当のことをいうととても寂しい。
もちろん仕事なのだから仕方がないということは分かっている。
気を紛らわせようと、本を読むことにした。
しかし、なかなか本の内容に集中できない。
他のことをしようと椅子から立ち上がる。
扉を開けると、ちょうどリリーが前から歩いてくるのが見える。
一度、部屋に戻るとあるものを手に取ると再び廊下に出るとルーナはリリーの近くに歩いていく。
「リリーさん、こんにちは」
「こんにちはルーナ様、どうかなされましたか?」
「リリーさんは、今は何をなさっていたんですか?」
「先ほど、廊下などの掃除を終えたところでございます」
「そうなのですね。今はお時間大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫でございます」
ルーナとリリーは場所を移動すると、椅子に座りリリーを見ると少し不安そうな表情をしている。
ルーナは姿勢を正すと話し始める。
「リリーさんにお願いがありまして、実はリナーさんにリリーさんが編み物が得意だとお聞きしたのですが私にも教えていただけないかと思いまして……」
リリーさんは、驚いた表情をしていた。
「はい。編み物は出来ますが…」
「これなのですが……」
ルーナは、手に持っていた本をリリーに見せる。
「一度、編んでみたのですが、上手くいかず悩んでいたところ、リナーさんに聞いてそれならば教えていただこと思った次第です」
「そうだったのですね。私はてっきり何か自分が何か失敗してしまったのかと思ってしまいました。私の勘違いでございました」
「いえ、私も少し深刻そうに話してしまいましたね」
リリーはその本をページの内容を見るとルーナに話す。
「これなら、簡単に出来ると思いますよ」
「そうですか!」
ルーナの顔が明るくなっていく。
何故ルーナが編み物の本を持っているかというと以前、エミリオが訪問してくれた時に荷物の中にこの本が入っていたのである。
「編み物か……」
ルーナは、少し残念そうに呟きました。
ある日のこと、いつも同じ場所ではと思い、気分を変えようと廊下に置かれている長椅子に座ってその本を見ていると、廊下からリナーがやってきた。
すると、リナーはルーナの姿を見つけるとルーナに尋ねました。
「ルーナ様、何を読んでいらっしゃるのですか?」
「リナーさん、今は、編み物の本を読んでいました」
「編み物でございますか」
「このように絵で描かれているのですが、このようなものを作れる人は素敵だと思いながら見ていました」
ルーナは、リナーに編み物の本のページをみせました。
「そうでしたか。失礼いたします」
そういうと、ルーナの隣にリナーが座りました。
「はい。私思ったのですが、物語の世界ももちろん素敵なのですが、本以外の違う趣味も増やしてみるのも良いのかなと考えていまして…」
「良いの考えだと思いますよ」
「そうですか!リナーさんこういう編み物のセットってどこのお店で購入できるのですか?専門のお店などでしょうか?」
ルーナはリナーに尋ねました。
「それならば、私の編み物のセットを持っているのですが……」
「本当ですか!」
「持ってきますので少しお待ちになっていてください」
そういうと、リナーは長椅子から立ち上がり、部屋に戻っていきました。
しばらくすると、リナーが戻ってきました。
「ルーナ様、こちらでございます」
ルーナは、リナーから缶に入った編み物のセットを受け取ります。
「空けてもよろしいですか」
「もちろんでございます」
ルーナは編み物のセットをあけるとその中にはかぎ針が数本と編み用の糸、ハサミが入っていました。
「ルーナ様、よろしければルーナ様にお譲りいたします」
「いいのですか。ですが……」
ルーナが悩んでいるとリナーはいいました。
「私は、不器用なため上手く道具を使いこなせませんでした。道具も誰かに使ってもらった方が喜ぶと思いますので是非もらってください」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」
「はい!ルーナ様」
このような経緯があったのである。
そして現在はというとルーナは一度、自分の部屋に戻ると編み物のセットを持ってリリーとルーナは談話室に移動した。
ソファに座ると、リリーは自分専用の編み物セットから刺繍糸とかぎ針を用意すると本に載っているものからある花を選びました。
「ルーナ様、まず一つ作ってみますね」
「はい」
そういうとリリーは作り始めました。
その手さばきはまるで職人技でした。
ルーナは夢中でその姿を見ていました。
何を作っているのだろうか。
そう思いながら出来上がるの待つルーナ。
しばらくすると、リリーは一つの花の作品をあっという間に完成させてしまいました。
ルーナはとても驚きました。
「出来ました。ルーナ様」
リリーはルーナに完成した花の作品をみせてくれました。
自分がやったときは、何度もやり直しては何時間も掛けてやった出来上がったと思い完成品を眺めると、どこか不格好で綺麗な形ではなかったのです。
しかし、リリーが作った物はとても綺麗に編まれているではありませんか。
「綺麗に編まれていて素敵なバラの花でございますね」
「そんなことを言ってくださりありがとうございますルーナ様」
リリーは恥ずかしそうに顔を明らめました。
その後、ルーナはリリーにやり方を教えてもらいながら編み始めました。
「これは、このようにすれば良いのですか?」
「これはこうすればよいのでございますよ」
「本当ですね、出来ました。ありがとうございます」
楽しい時間が談話室を包んでいます。
ふとルーナは談話室の時計を見ると随分時間がたっているのに気がつきました。
ルーナはリリーにいいました。
「リリーさん、もうこんなに時間がたっていたのですね」
リリーもルーナに言われ時計に目をやると驚いた様子でいいました。
「本当でございますね。こんなに時間がたっていたなんて思いませんでした」
「楽しくてつい時間を忘れてしまいますね」
「そうでございますね。ルーナ様」
「そろそろ、お開きにした方がいいですね」
「そうでございますね」
「今日は、教えてくださりありがとうございました」
「いえ、とても楽しかったでございますよ」
ルーナはリリーに尋ねました。
「また一緒にやってくださいますか。それまでに今日教えていただいたところを少しでも出来るようにしておきます」
「もちろんでございますルーナ様。私もまた一緒に出来ればと思っておりました」
二人は、微笑み合いました。
リリーとルーナは編み物セットを片付け終わると、談話室を出ました。
「では」
「はい。では」
リリーは、一階に向かって廊下を歩いていきました。
ルーナはというと、自分の部屋に戻るため廊下を歩いていました。
廊下を歩きながら、ルーナは部屋に戻ってからのやることを考えました。
部屋に帰ったらまた先ほどの編み物の続きをしよう。
部屋に着くと、机に編み物セットを広げていきます。
私は、先ほど作ってくれたリリーさんの作品をお手本にしていきます。
やはり本の絵だけではわからない糸の方向などの細かいところの細部まで見ることが出来ます。
本当にリリーさんは何でも出来て尊敬することばかりです。
色々な花の小物が机に並んでいます。
これは、バラで、これはデージー、これはチューリップなどがあり、そしてラベンダーである。
ラベンダーを見てルーナはあの花畑で見た風景を思い出していました。
それは、ルーナとシャルルが水の都フルスに帰る道中で見つけた花畑。
ルーナは、ラベンダーという花をそこで始めてみて素敵だと感じ、ルーナはいつしかルーナとシャルルを繋げた思い出の花になり忘れられない思い出の一ページになっていたのでした。
ルーナは引き出しを引くとあるものを取り出しました。
それは、宿に隣接する土産屋でシャルルからプレゼントされた乾燥したラベンダーが入った小瓶であった。
ルーナはそれを机に置くと、先ほどまでやっていた編み物に戻る。
一人で初めて作ったときに比べてリリーさんに教えてもらったお陰で少しは形が出来てきているように感じる。
「でも、難しいな、でも、楽しいな」
その日、ルーナは沢山の小物を作り続けました。