ルーナは夢を見た。
ここはあの教会だろうか。
あの教会とは、ルーナが置いていかれ最初に育てられた教会であった。
その出来事は突然であった。
いつものようにルーナが一人で遊んでいると、一人の男の子がルーナに近づいてくると突然ルーナに向かって質問をしてきた。
「お前のその瞳、何で片方だけ青色なんだ?」
ルーナはその男の子の質問に答える。
「私も分からないの」
すると、その質問の答えを聞いた男の子がルーナに向かって言葉を投げ掛ける。
「怖いな。呪われてるみたい」
その何気ない言葉にルーナはとてもとても傷つき、その場から走っていくと、誰もいない部屋に入り一人静かに泣いたのであった。
その日を境にルーナに誰も近寄ろうとはしなくなった。
あの男の子がありもしない嘘を言いふらしたからである。
「あいつの瞳で見られると呪われるらしいぞ」
「近づかない方がいいわよ」
「こっちを見たわ。呪われてしまう」
ある日、ルーナが男の子に押されてしまい女の子とぶつかってしまった時があった。
女の子が怒った口調でルーナに言ってくる。
「痛いじゃない」
「ごめんなさい」
ルーナはすぐに謝り、手を貸そうと手を出すとその手を振り払われる。
「触らないで、自分で起き上がれるから。私のことその瞳で見ないでよ。呪われるわ」
そういうと周りにいた女の子たちがその女の子のことを助けに入る。
「そうよ。呪われるわ」
「私たちにも近づかないで」
「行きましょう」
そういうとルーナに謝りもせず遠くに行ってしまった。
それからもことあるごとにルーナのせいになってしまい、大人からの信頼もなくなっていった。
ルーナがシスターから怒られている。
「何よ、その瞳は!」
ルーナはそのシスターをみて睨んでいる。
何故、なにもしてはいないのに私がやったことになってしまうのか。
この日も、ものが無くなってしまったことがルーナがその瞳で消したとか何とか周りの子供たちが言い出し、ルーナが今怒られているのである。
ルーナは何度も否定するのだが聞く耳を持ってくれないのである。
「私ではありません。本当でございます」
「ですが、ものが見つかっていないではありませんか」
「本当に私ではないのです」
しかし、信じてもらずルーナは反省部屋に入ることになる。
後日、その失くなったと思われていたものは見つかるのであるがそのシスターはルーナに謝罪の言葉もなにもなかった。
ルーナはその事が悔しくて、教会に来て始めて自分の気持ちをそのシスターがいる部屋に行くと言葉をぶつける。
「謝ってください」
「何故私が、謝らなければならないのですか?」
「私は、間違っていたらその相手に自分の過ちを認め謝罪するべきだと教わりました。しかしあなたはその過ちを認めず、私に謝ろうとしないではないですか」
「何よ。その言い方は」
シスターはルーナを身体を押すとルーナは弾みで転んでしまった。
しかし、シスターは助けもせずその部屋を出ていく。
ルーナは悔しさのあまり手に力を入れ握りしめる。
辛い記憶が断片的に映し出される。
「怖い」
「仲良くしないほうがいいわよ」
「なぜ片方だけ青色なのかしら」
耳を塞ぎたくなるような言葉たちがルーナの心に暗い影を落としていく。
周りの声がどんどん小さくなっていく。
「はあ」
目が覚める枕に触れると濡れており、顔を触ると涙の跡が残っていた。
もう二度と思い出したくない記憶の日々たち。
ルーナはベッドから立ち上がると、カーテンを開き、窓の扉を開ける。
空を見ると、少し薄暗く今にも雪が降ってきそうな空の色をしている。
まるで今の私の気持ちを表しているかのように感じる。
その後は、色々なことがあり近くにある別の教会に移ることになる。
色々なこととは、私に与えられる環境が良くないようである、要するに追い出されたのである。
この教会では、対処しきれないというわけである。
そこから、色々な教会や孤児院を転々としていき、最後はシャルル様がやってきた、あの教会に行き着くというわけである。
ここに来てルーナは、思うのである。
もう戻りたくない、決して戻らない。
開けた窓の扉を閉め椅子に座ると、引き出しから日記帳を取り出す。
気持ちを切り替えるために昨日書くことにしていた日記帳を開くと、早速ペンを持ち書き始める。
『昨日は、シャルル様と共に歴史ある建物のなかにあるレストランに新年を迎えた記念にやって来た。コース料理が出てきて、前菜からデザートまでとても美味しくいただいた。初めての体験で緊張したがとても楽しかった。良い記念の日になった』
ルーナは日記を書き終えると服を着替え、髪を整えると部屋を出ていく。
今日は、何をして過ごそうかと考えながら廊下を歩くルーナ。
いつもなら書庫に行き、本を読むのだがそれではいつもと何も変わらない。
ふと廊下にある窓から外を眺めると雪が降り始めてきた。
カチ
時間が止まる音が聞こえる。
外で飛んでいた鳥や降っていた雪が止まっている。
次の瞬間、男性の声が聞こえる。
「見つけた」
突然のことに戸惑うルーナ。
身体が動かない、どういうことなのだろうか。
カチ
時間が進む音が聞こえる。
外を見ると、先ほどまで止まっていた鳥や雪が動き出す。
視界が暗くなっていく。
ルーナが目を覚ます、自分の部屋のベッドの上で眠っている。
どういうことなのだろうか。
まるで現実にあった出来事のように感じる。
それが違うのであれば幻聴なのだろうか。
ベッドから立ち上がると、机の引き出しから日記帳を取り出す。
そこには、先ほどの書いた内容が書かれていたのであった。
服も着替えられているではないか。
日記を書いてもう一度寝てしまったのだろうか。
不思議な気分になる。
ルーナは、部屋から出ると急いで書庫に向かう。
この書庫には、もちろん小説などがあるが、医学などの分野に沿ったものが数冊置かれているのを知っていた。
普段は読むことの無いジャンルの本なのではあるが……
ルーナは先ほどの自分の行動が、教会に住んでいたころ孤児の女の子が話しているのを聞いたことがあり、それを見たことがあるのだが、自分がした行動とよく似ていたのである。
本棚から目当ての本を探していく。
「あった」
椅子に座ることなく机に本を置くとページを開く、指でなぞって探していく。
「見つけた」
夢遊病、それは眠っている間にベッドから起き上がり歩いたりするようなことを言う。
しかし、寝ていた時の記憶はほとんど覚えていないケースが多いと書かれている。
「記憶を覚えていない」
では、夢遊病ではないのだろうか。
ルーナは、しっかり起きてから視界が暗くなっていくまでの出来事の記憶も覚えている。
ならば他の病気なのだろうかと他のページを開いて探してみるが当てはまるものは見つからない。
あれも夢の続きだったのだろうか。
訳が分からない。
あの男性の声は誰なのだろうか。
ますます分からなくなっていくではないか。
扉が開かれる音がする。
「ルーナ、ここにいたのだね」
振り返るとそこにはシャルル様が立っている。
「シャルル様」
ルーナはシャルルに近づくと、手を取り書庫の部屋のなかに連れていく。
「どうしたんだ。ルーナ」
シャルルは不思議そうにルーナを見ている。
ルーナは、シャルルに椅子に座るように進めると、ルーナも椅子に座り話し始める。
「実は、不思議なことがありまして」
その後、先ほど起こった出来事をシャルルに話したルーナ。
話を終えるとシャルル様が尋ねてくる。
「ということは、そのルーナは夢遊病?というものだと思っていたが書いてあることが当てはまらないというわけだね。時間が止まったあとに男性の声も聞こえたと言っていたね」
「はい」
「それはどのくらいの年齢の声に聞こえたかな?」
「若いような、老いたようなはっきりとした記憶はないのですが、確かに男性の声がしました。ですが周りに人がいたようなことは無かったので、怖く感じてしまいました」
「そうだったのだね」
「シャルル様はこの話を信じてくださいますか」
「もちろんだよ。怖かっただろう」
ルーナが少しホッとしたような表情に変わる。
シャルルは、少しずつだか危機感を抱き始めていた。
ルーナに迫る黒い影を……
そして必ずルーナを守って見せると……
ここはあの教会だろうか。
あの教会とは、ルーナが置いていかれ最初に育てられた教会であった。
その出来事は突然であった。
いつものようにルーナが一人で遊んでいると、一人の男の子がルーナに近づいてくると突然ルーナに向かって質問をしてきた。
「お前のその瞳、何で片方だけ青色なんだ?」
ルーナはその男の子の質問に答える。
「私も分からないの」
すると、その質問の答えを聞いた男の子がルーナに向かって言葉を投げ掛ける。
「怖いな。呪われてるみたい」
その何気ない言葉にルーナはとてもとても傷つき、その場から走っていくと、誰もいない部屋に入り一人静かに泣いたのであった。
その日を境にルーナに誰も近寄ろうとはしなくなった。
あの男の子がありもしない嘘を言いふらしたからである。
「あいつの瞳で見られると呪われるらしいぞ」
「近づかない方がいいわよ」
「こっちを見たわ。呪われてしまう」
ある日、ルーナが男の子に押されてしまい女の子とぶつかってしまった時があった。
女の子が怒った口調でルーナに言ってくる。
「痛いじゃない」
「ごめんなさい」
ルーナはすぐに謝り、手を貸そうと手を出すとその手を振り払われる。
「触らないで、自分で起き上がれるから。私のことその瞳で見ないでよ。呪われるわ」
そういうと周りにいた女の子たちがその女の子のことを助けに入る。
「そうよ。呪われるわ」
「私たちにも近づかないで」
「行きましょう」
そういうとルーナに謝りもせず遠くに行ってしまった。
それからもことあるごとにルーナのせいになってしまい、大人からの信頼もなくなっていった。
ルーナがシスターから怒られている。
「何よ、その瞳は!」
ルーナはそのシスターをみて睨んでいる。
何故、なにもしてはいないのに私がやったことになってしまうのか。
この日も、ものが無くなってしまったことがルーナがその瞳で消したとか何とか周りの子供たちが言い出し、ルーナが今怒られているのである。
ルーナは何度も否定するのだが聞く耳を持ってくれないのである。
「私ではありません。本当でございます」
「ですが、ものが見つかっていないではありませんか」
「本当に私ではないのです」
しかし、信じてもらずルーナは反省部屋に入ることになる。
後日、その失くなったと思われていたものは見つかるのであるがそのシスターはルーナに謝罪の言葉もなにもなかった。
ルーナはその事が悔しくて、教会に来て始めて自分の気持ちをそのシスターがいる部屋に行くと言葉をぶつける。
「謝ってください」
「何故私が、謝らなければならないのですか?」
「私は、間違っていたらその相手に自分の過ちを認め謝罪するべきだと教わりました。しかしあなたはその過ちを認めず、私に謝ろうとしないではないですか」
「何よ。その言い方は」
シスターはルーナを身体を押すとルーナは弾みで転んでしまった。
しかし、シスターは助けもせずその部屋を出ていく。
ルーナは悔しさのあまり手に力を入れ握りしめる。
辛い記憶が断片的に映し出される。
「怖い」
「仲良くしないほうがいいわよ」
「なぜ片方だけ青色なのかしら」
耳を塞ぎたくなるような言葉たちがルーナの心に暗い影を落としていく。
周りの声がどんどん小さくなっていく。
「はあ」
目が覚める枕に触れると濡れており、顔を触ると涙の跡が残っていた。
もう二度と思い出したくない記憶の日々たち。
ルーナはベッドから立ち上がると、カーテンを開き、窓の扉を開ける。
空を見ると、少し薄暗く今にも雪が降ってきそうな空の色をしている。
まるで今の私の気持ちを表しているかのように感じる。
その後は、色々なことがあり近くにある別の教会に移ることになる。
色々なこととは、私に与えられる環境が良くないようである、要するに追い出されたのである。
この教会では、対処しきれないというわけである。
そこから、色々な教会や孤児院を転々としていき、最後はシャルル様がやってきた、あの教会に行き着くというわけである。
ここに来てルーナは、思うのである。
もう戻りたくない、決して戻らない。
開けた窓の扉を閉め椅子に座ると、引き出しから日記帳を取り出す。
気持ちを切り替えるために昨日書くことにしていた日記帳を開くと、早速ペンを持ち書き始める。
『昨日は、シャルル様と共に歴史ある建物のなかにあるレストランに新年を迎えた記念にやって来た。コース料理が出てきて、前菜からデザートまでとても美味しくいただいた。初めての体験で緊張したがとても楽しかった。良い記念の日になった』
ルーナは日記を書き終えると服を着替え、髪を整えると部屋を出ていく。
今日は、何をして過ごそうかと考えながら廊下を歩くルーナ。
いつもなら書庫に行き、本を読むのだがそれではいつもと何も変わらない。
ふと廊下にある窓から外を眺めると雪が降り始めてきた。
カチ
時間が止まる音が聞こえる。
外で飛んでいた鳥や降っていた雪が止まっている。
次の瞬間、男性の声が聞こえる。
「見つけた」
突然のことに戸惑うルーナ。
身体が動かない、どういうことなのだろうか。
カチ
時間が進む音が聞こえる。
外を見ると、先ほどまで止まっていた鳥や雪が動き出す。
視界が暗くなっていく。
ルーナが目を覚ます、自分の部屋のベッドの上で眠っている。
どういうことなのだろうか。
まるで現実にあった出来事のように感じる。
それが違うのであれば幻聴なのだろうか。
ベッドから立ち上がると、机の引き出しから日記帳を取り出す。
そこには、先ほどの書いた内容が書かれていたのであった。
服も着替えられているではないか。
日記を書いてもう一度寝てしまったのだろうか。
不思議な気分になる。
ルーナは、部屋から出ると急いで書庫に向かう。
この書庫には、もちろん小説などがあるが、医学などの分野に沿ったものが数冊置かれているのを知っていた。
普段は読むことの無いジャンルの本なのではあるが……
ルーナは先ほどの自分の行動が、教会に住んでいたころ孤児の女の子が話しているのを聞いたことがあり、それを見たことがあるのだが、自分がした行動とよく似ていたのである。
本棚から目当ての本を探していく。
「あった」
椅子に座ることなく机に本を置くとページを開く、指でなぞって探していく。
「見つけた」
夢遊病、それは眠っている間にベッドから起き上がり歩いたりするようなことを言う。
しかし、寝ていた時の記憶はほとんど覚えていないケースが多いと書かれている。
「記憶を覚えていない」
では、夢遊病ではないのだろうか。
ルーナは、しっかり起きてから視界が暗くなっていくまでの出来事の記憶も覚えている。
ならば他の病気なのだろうかと他のページを開いて探してみるが当てはまるものは見つからない。
あれも夢の続きだったのだろうか。
訳が分からない。
あの男性の声は誰なのだろうか。
ますます分からなくなっていくではないか。
扉が開かれる音がする。
「ルーナ、ここにいたのだね」
振り返るとそこにはシャルル様が立っている。
「シャルル様」
ルーナはシャルルに近づくと、手を取り書庫の部屋のなかに連れていく。
「どうしたんだ。ルーナ」
シャルルは不思議そうにルーナを見ている。
ルーナは、シャルルに椅子に座るように進めると、ルーナも椅子に座り話し始める。
「実は、不思議なことがありまして」
その後、先ほど起こった出来事をシャルルに話したルーナ。
話を終えるとシャルル様が尋ねてくる。
「ということは、そのルーナは夢遊病?というものだと思っていたが書いてあることが当てはまらないというわけだね。時間が止まったあとに男性の声も聞こえたと言っていたね」
「はい」
「それはどのくらいの年齢の声に聞こえたかな?」
「若いような、老いたようなはっきりとした記憶はないのですが、確かに男性の声がしました。ですが周りに人がいたようなことは無かったので、怖く感じてしまいました」
「そうだったのだね」
「シャルル様はこの話を信じてくださいますか」
「もちろんだよ。怖かっただろう」
ルーナが少しホッとしたような表情に変わる。
シャルルは、少しずつだか危機感を抱き始めていた。
ルーナに迫る黒い影を……
そして必ずルーナを守って見せると……