年が明けて数日がたった。

年が明けた後、私はいつの間にか眠ってしまっていたようだった。

目が覚めると、自分の部屋のベッドの上で眠っていた。

恐らく、シャルル様が運んでくださったのだろう。

あの時、眠気に堪えながら頑張って起きていた、外で時計塔の鐘の音が聞こえてから、花火が上がり終わってホット一息ソファに座ると、暖炉の暖かさも相まって寝てしまったというわけである。

シャルル様の前で寝ないように心掛けていたのに、私はまたシャルル様の前で恥ずかしいというか、うまく説明できない気持ちになってしまう。

そんなこんなで、今日も一日が始まる。

今日から自分の支度は自分ですることにした。

今年で十六歳になる。

この国ではあと一年で十七歳は大人と認められる年齢になるのである。

少しでも早く大人になり、少しずつだが何でも出来るようになりたいと思っている。

パジャマからワンピースに着替え、髪の毛を整え部屋を出る。

部屋を出ると、リリーさんが向こうから歩いてくるのがみえる。

ルーナは、リリーに近づいていく。

「ルーナ様、おはようございます」

「おはようございます。リリーさん。リリーさんも花火をご覧になられましたか」

「はい、私も拝見しました」

「とても素敵でしたね」

「そうでございますね」

「リリーさん、今年もどうぞ宜しくお願いいたします」

「はい。ルーナ様よろしくお願いいたします。ではこれは私は失礼いたします」

「はい」

ルーナは、リリーに会釈をすると、また廊下を歩き出す。

まずは、皆さんに新年の挨拶をすることにしよう。

それから、それから何をしようかしら

次は、シャルル様に挨拶をしよう。

そう思いたつと、ルーナは、シャルルの書斎に向かう。

書斎に到着すると、ルーナは書斎の扉をノックする。

「ルーナでございます。シャルル様」

「どうぞ、入っておいでルーナ」

「失礼いたします」

ルーナは、書斎に入っていく。

シャルル様は机の上で何かを書いている。

「起きたんだね。ルーナ」

「はい。シャルル様、新年の挨拶に参りました」

「そうかい」

シャルルは、立ち上がるとソファに座るとルーナをソファに招く。

「おいで、ルーナ」

「はい。シャルル様」

ルーナは、ソファに座るとシャルルに話し始める。

「シャルル様、今年もどうぞよろしくお願い致します」

「よろしくね。ルーナ、今日は何をしようとかんがえているの?」

「まずは、皆さんに新年のご挨拶をしようと考えておりまして、その後はまだ考えておりません」

「そうなのだね」

「それがどうなさいましたか?」

「新年のお祝いに外に出て食事にでも行こうと考えているのだけれどどうかな?」

「はい。是非行きたいでございます」

ルーナは、嬉しそうに喜んでいる。

「そうかい、よかった。では、夜の六時頃にルーナの部屋まで迎えに行くよ」

「はい。楽しみしております」

「それでは僕は、仕事に戻ることにするよ」

「はい。では、私はこれで失礼いたします」

ルーナは、ソファから立ち上がると、シャルルに会釈すると書斎の部屋から出ていく。

その後、エドモンドさん、リナーさんに新年の挨拶を終える。

二人とも嬉しそうに優しく接してくれた。

「「今年もどうぞよろしくお願い致します」」

「「ルーナ様、今年もよろしくお願い致します」」

その後、ルーナは部屋に一度戻ることにした。

まずは、昨日の出来事を日記に書くことにした。

『談話室から見た花火はとても素敵でロマンチックだった。ソファに座った後、眠ってしまったようだ。とても素敵な夢を見た気がするのに覚えていないのがとても残念でならない。ここに来て沢山のことを経験できて本当に嬉しい』

『今日は朝から皆さんに新年のご挨拶をして回った。夜にシャルル様と外で食事をすることになった。外で食事をするのはいつぶりだろうか。今から楽しみでならない』

ルーナは、日記帳を閉じると本を読むことにした。

また、素敵な本に出会えた本の内容は、また今度にでも話すことにしよう。

時計の針が進んでいく。

本を読み終わり、時計を見るシャルル様との約束の時間まで随分時間がある。

ルーナは、本を棚に戻すと再び部屋を出ることにした。  

エドモンドさんが向こうから歩いてくるのがみえると、ルーナは近くに歩いていく。

「エドモンドさん」

「ルーナ様、どうなさいましたか?」

「お願いなのですが、エドモンドさんのお仕事を拝見させていただきたいのです」

「私の仕事をでございますか」 

「はい。実は以前からどのような内容の仕事をなさっているのかとても関心がありまして、どうでしょうか?」

「そうでございましたか、ルーナ様に私どもの仕事について関心があると言っていただき驚いてしまいまして」

「私も教会にいた頃は、仕事をしたりしていましたが、プロであるエドモンドさんの技を拝見出来たらと思いまして……」

本当のことをいうと先ほど読んでいた本の内容が仕事に関する物語だったのである。

エドモンドさんは少し悩んでからルーナに告げる。

「もちろんでございます。是非ご覧になってください」

その後、ルーナはエドモンドの後についていき仕事の様子を見て回った。

例えば、部屋の掃除も一つ一つ、丁寧に拭いていたり、掃いていたりする。

他にも食器の向きや汚れがついていないか等の細かい部分までこだわりを感じる。

まさにプロの技だと実感する。

「いかがでございましたか。ルーナ様」

「何と言いますか。一言では現せないほど技をお持ちで大変勉強になりました」

「左様でございますか。素敵な言葉をいただき嬉しく存じます」

「いえ、いつも本当にありがとうございます。エドモンドさん」

エドモンドさんと別れると、ルーナはまた部屋に戻る。

部屋に戻り時計を見ると随分、時間が経っていた。

そうだ、食事にするために来ていく服を決めることにした。

ルーナは、クローゼットを開く一着一着出していくが、なかなか決まらない。

ベッドの上には出した服が散乱している。

結局どれにするか決まらず、困っていると扉がノックされる。

時計を見るといつの間にか六時になろうとしていた。

扉を開けると、シャルル様が優しい眼差しでこちらを見ている。

「ルーナは、準備は出来たかい?」

ルーナは、申し訳なさそうにシャルルに話しかける。

「実は、服を選んでいたのですが、どれにしようかと迷っていたらこんな時間になってしまいまして、しかもまだ服が決まっておらず」

シャルルは怒る様子もなくルーナに優しく話を頷いてくれた。

「そうだったんのだね」

シャルルは、ルーナの部屋に入ると扉を閉める。

「では、僕が選んであげよう」

そういうとシャルルは呪文を唱えると、みるみるうちにルーナの服がワンピースからドレスに変わっていく。

「わー、綺麗」

ルーナは、驚きつつも嬉しそうな顔をしている。

そのドレスは薄いピンク色をしておりルーナにとても似合っていた。

いつもとは、違い着なれないドレスにルーナは少し戸惑う。

でもそこまで派手なものではなく着やすそうなドレスをシャルルは選んでくれた。

「では、行こうか」

「はい。シャルル様」

一階に下りると、エドモンドさんが待っており、外には馬車が待っていた。

「いってらっしゃいませ、シャルル坊っちゃま、ルーナ様」

「行って参ります。エドモンドさん」

「いってらっしゃいませ。ルーナ様」

「あとは任せたよ」

「はい。坊っちゃま」

エドモンドさんに挨拶を済ませ、馬車に乗るときにシャルル様が手を差し伸べてくれた。

久しぶりに馬車に乗るため何だかぎこちない雰囲気が漂っている。

少し進むとルーナは、シャルルに話しかける。

「シャルル様、どちらのお店に向かわれるのですか?」

ルーナは、シャルルに尋ねる。

「それは、着いてからのお楽しみだよ」

「お楽しみでございますか。とても気になります」

「楽しみがあった方が喜びも増えるからね」

「そうでございますね。シャルル様」

ルーナは、仕方なく店に着くまで我慢することにした。

ルーナは、外の風景を眺めることにした。

最初は見慣れない風景だったが今では見慣れた風景に変わっていっていた。

しばらく進んでいくと、馬車が止まった。

シャルルとルーナは、馬車から下りると、レストランの前に立つとルーナは、そのレストランの外見を眺める。

歴史を感じるその建物にルーナは、圧倒されてしまい立ちすくむ。

「どうしたんだいルーナ」

「いえ、あの建物に圧倒されてしまいまして…」

「確かにこの建物は、この国で歴史ある建物の一つでもあるからね。詳しいことは中ではなそう。さあ、行くよルーナ」

「はい。シャルル様」  

シャルルとルーナは、建物の中に入っていく。

建物に入ると、天井にはシャンデリア、床には絨毯がひかれており、高級感が漂う。

案内してくれる人を見ると、他のウェイターとは違う雰囲気が伝わってくる。

どうやらこの店の支配人を務めている人で、高い役職を担っている人のようだ。

シャルルとルーナは、支配人の後ろを付いていく。

人々が座っている席を通りすぎる、奥へと進んでいく。

「こちらでございます」

支配人が扉がある場所を指している。

「ありがとう」

シャルル様がお礼をいうと、支配人はその扉を開けてくれる。

二人はその部屋に入る。

その部屋は、個室になっており他の人たちには邪魔をされないようになっていた。

またしても、ルーナはその部屋に圧倒されてしまう。

シャンデリアに絨毯、並べられている食器や装飾品全てが高級に見えて、緊張してしまう。

お店のウェイターが椅子をひいてくれ、ルーナは椅子に座る。

一度支配人やウェイターたちが外に出ると、二人っきりになった。

シャルルがルーナに尋ねる。

「どうかな?この部屋は」

「と、とても素敵でございます」

ルーナは、緊張なのか上手く合図地が出来ない。

扉がノックされると、ウェイターが食事を運んできた。

キッチンワゴンに乗せられた食事たち、最初は前菜がテーブルに置かれる。

「お待たせいたしました。前菜でございます」

皿の上にはにハムのようなものがのっており彩りに緑が添えられている。

ルーナは、一口食べてみると、思わず口から声が出てしまう。

「お、美味しい」

「それはよかったよ」

シャルルはルーナの美味しそうに食べている表情を見て嬉しく気持ちになっていく。

次に運ばれてたのは、スープで、飲みやすい味わいをしていた。

次々にコース料理が運ばれてくる、最後にデザートが出てくる。

皿の上にはケーキの盛り合わせになっており色とりどりになっており綺麗である。

ルーナは、一口食べる。

美味しい、色んな味を楽しむことができるので楽しい。  

ルーナはケーキの盛り合わせを食べ終えると、シャルルに話しかける。

「全部、美味しかったでございます。シャルル様」

「ルーナに喜んでもらえてよかったよ」

支配人が部屋にやって来ると、シャルル様と何やら話をしている。

それが終わるとシャルル様が立ち上がり、続けて私も立ち上がる。

部屋から出ると、先ほど通った廊下を戻っていく。

外に出るとすでに馬車が停まっており、私たち二人に気付くと扉を開けてくれる。

帰り際に支配人がシャルル様に箱を渡してくる。

ルーナは、馬車に乗るとその箱についてシャルルに尋ねてみることにした。

「シャルル様、その箱には何が入っているのですか?」

シャルルはルーナの質問に答える。

「先ほどの食べたケーキだよ」

「そうなのでございますか!」

「ルーナのことだから皆に食べてもらいたいと思っていると思ってね」

「なぜ分かったのでございますか!」

そのくらいみればわかる…

そう言ったかったのだかシャルルは違う言葉を口にする。

「僕もそう思っていたからね」

「そうでございましたか」

馬車に揺られながら、今日の出来事を振り返る。

今日も初めての体験をすることが出来た、まだ全然こういう場所に行ったことがないため慣れていないが少しずつだがこういう場所にも慣れていけるようにしていきたいと感じた。

馬車が随分走ったところで馬車が止まる。

屋敷に着いたようである。

シャルルとルーナは馬車から下りると、屋敷の中には入るとエドモンドさんが玄関ホールで迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、シャルル坊っちゃま、ルーナ様」

「ただいま帰りました。エドモンドさん」

「帰った、エドモンドこれは皆へのお土産だよ」

そういうとシャルル様はエドモンドさんに先ほどのケーキが入った箱を渡す。 

「坊っちゃま、ありがとうございます」

「いいんだ」

エドモンドとわかれるとシャルルとルーナは二階に上がるため階段を上る。

ルーナの部屋の前に着くとシャルルが口を開く。

「ルーナ疲れただろう、ゆっくり休むといい」

「はい。ありがとうございます。シャルル様今日は、本当に楽しかったでございます。お休みなさいませ」

「おやすみ、ルーナ」

挨拶を交わすと、シャルル様は歩き始める。

ルーナは部屋に戻ると、リリーさんに服を着替えるのを手伝ってもらうと、ベッドに横になる前に日記を書こうとしたが疲れたため明日書くことにベッドに横になった。

気がつくといつの間にか夢の世界へと入っていった。