あの日から数日が経った。
あれから、シャルル様を見ても気になる気持ちは、消えてしまったようだった。
初めて感じる不思議なその感覚。
ルーナは、考え事をしていた。
それは、あと数日でクリスマスを迎えるからである。
ここに来て初めてのクリスマス。
ルーナは、悩んでいた皆にあげるプレゼントを……
「どうしよう」
どんなものを贈れば喜んでくれるのだろうか?
私は、いつも貰ってばかりで一度も贈ったことがないのため何を渡せば良いのだろうか。
エミリオさんに聞きたいけど、今忙しくて会えないそうなのだ。
でも、リリーさんやリナーさんに相談したくても、それだと贈り物がバレてしまうし……
高価なものは、贈れないけど……
押し花、いやそれは……
普通のものも良いけれど、せっかくならば特別なものを贈りたい。
特別なもの……
それならば…
ムーン横丁に行けば、何か良いのが有るのではないか。
しかし、シャルル様がそこに行くことを許可してくれるのか。
きっと許してはくれない気がする。
ムーン横丁は、魔法界の人間であることを証明されていない人物は、ムーン横丁に行くための扉の鍵を開けたり、そこから入ることが出来ないのである。
同伴として付いていくことは可能なのだが。
私の場合は、シャルル様から贈り物の魔法のネックレスを持っているので行くことが出来るのである。
それが難しいのであれば、料理などはだろうか。
でも、料理なんて出来るのだろうか。
料理なんてまともに作ったことがないというのに……
しかし、料理を作ろうと決めたとして、メニューというか、作りたい料理も決めなくてはならなくなる。
こんなに悩んだのは、恐らく初めてだと思われる。
沢山、悩んだ末に料理をすることに決めた。
料理なら皆に食べてもらえるからである。
作る料理は、食後のデザートとして食べるのも良いだろうと考えた。
この時期、どんなものがあるだろうか。
アップルパイ。
ここに来て、初めて摂った夕食で出た、デザートである。
よし決めたからには、これから料理の練習を始めよう。
その前に材料を揃えるないといけない。
しかし、一人では難しいので本当は、皆を驚かせたかったが、エドモンドさんを頼ることにした。
ルーナは、キッチンに向かってあるいていると廊下の反対方向からエドモンドが歩いてくるのが見えた。
「ルーナ様、おはようございます」
「おはようございます。エドモンドさん」
ルーナは、エドモンドに挨拶をすると早速尋ねる。
「エドモンドさん、実はその私、料理をしてみたいと思っていて……」
「左様でございますか。どの様なものをお作りになられるのでございますか?」
「アップルパイを作りたいと考えておりまして、私では、上手く作れるか心配なので、もし良ければ手伝っていただきたいと思っているのですが…」
「もちろんでございますか」
「ありがとうございます」
「確かに倉庫に沢山、リンゴがあったと記憶しておりますゆえ、早速なのでございますがお時間はいかがでしょうか?」
「はい。もちろん今からで大丈夫です」
「それでは、参りましょう」
エドモンドはキッチンに向かっていく、ルーナは、そのエドモンドの後ろについていく。
キッチンに着くと、エドモンドさんは裏口から倉庫に向かい、リンゴの準備をしてくれる。
それからアップルパイに必要な材料を出してくれる。
材料
・小麦粉
・塩
・バター
・卵
・砂糖
などを準備し、最初に器に小麦粉とバターを入れ混ぜていく。
その後、どうにかエドモンドさんに手伝ってもらいながら作り終えるとオーブンの中に入れる。
一息つくとその間、焼けるまでしばらく待つことになった。
料理を作るってこんな大変なことなのだと感じた。
「手伝っていただきありがとうございます。私の至らない所もありましたのに」
「いえ、ルーナ様と料理を作れて大変楽しかったでございますよ」
「そんな言葉を言ってくださると、気持ちが楽になります」
ルーナは立ち上がり、オーブンの様子を確認する。
良く焼けているようだ。
ルーナは再び椅子に戻り座る。
時間が静かに流れていく。
突然、エドモンドさんが立ち上がり、オーブンの前に立つと、中からアップルパイを出してくれ、テーブルに置いてくれた。
「出来上がりました。ルーナ様」
アップルパイは湯気を出して、美味しそうにとはいかなかった。
残念ながら、失敗してしまった表面が黒く焦げてしまったのである。
エドモンドさんは慰めてくれた。
「最初ですから、誰でも失敗することはございますよ。もう一度、挑戦なさればよろしいのですよ」
「そうですね。もう一度挑戦してみます」
その後、もう一度挑戦したが上手くいかず、その日は作るのを終わることにした。
その後、片付けを終えて二人で仲良くそのアップルパイを味見する。
一口食べてみるが、何かが違う美味しくないかと言われたらそうではないのだか何か物足りないような気がする。
「エドモンドさん、お味はいかがですか?」
「美味しいお味でございますが」
そんなエドモンドの様子をみてルーナは、尋ねる。
「何か足りないような気がするのですが」
するとエドモンドさんはあるの食材を提案してくれた。
エドモンドさんにアドバイスをもらいながら
失敗したものは皆にバレないように私とエドモンドさんの専用のデザートとなった。
◇◆◇◆
翌日もルーナはキッチンに立っていた。
今日は、一人で材料などの準備を始め、エドモンドさんに教えてもらった作り方をしっかり確認しながら作り始める。
今日こそは、上手に作れたら良いのだが……
昨日のように器に小麦粉とバターを入れて混ぜていく。
昨日よりも慎重にていねいに混ぜていく。
行程を進めていく。
昨日、エドモンドさんが提案してくれた食材をいれていく。
「でしたら、レモンの果汁を入れてはいかがでしょうか?」
「レモンの果汁ですか?」
「左様でございます。レモン果汁”ナシ”と“アリ”の作り方がございまして、いつもは“ナシ”で作っているのですが、
今回はアリで作ってみてはいかがでしょうか!」
作り終わると、オーブンに作ったアップルパイを入れていく。
入れ終わると、椅子に座り改めてキッチンを見渡す。
コンロの棚の上には、鍋などが並べており、食器棚には沢山の食器が並んでいて、バランスよく並べられている。
キッチンには小窓がありそこから外の景色を見ることが出来て、ちょうどエドモンドさんが作業をしているのが見えた。
ルーナは、オーブンを眺めている。
朝から始めたため眠くなってしまい、ウトウトしてしまう。
シャルルがキッチンを覗くと、ルーナがおり、突っ伏すした状態で寝息をたてている。
ルーナが、目を覚ましたときには、エドモンドさんがオーブンの前におり、ちょうどオーブンにあるアップルパイの様子を見ているところだった。
ルーナは、椅子から立ち上がる。
「申し訳ございません。エドモンドさん」
「良いのですよ。数分程しか経っておりませんゆえ」
数十分後、エドモンドさんがオーブンからアップルパイを出してくれると、それをテーブルに置いてくれる。
「良い香りがしますね」
今回のアップルパイは上手に出来たと言えるのではないか。
しかし味見してみないことにはわからない。
ルーナはエドモンドさんの分のアップルパイを切り分け、皿に並べていく。
準備を終えると、二人は椅子に座る。
「最初にエドモンドさんから食べていただきたいのですが」
エドモンドさんは、一口アップルパイを食べる。
その様子を静かにルーナが見詰めている。
ドキドキする、味はどうなのだろうか?
「いかがですか、エドモンドさん……お味は?」
「大変……」
「大変」
エドモンドさんが暗い顔を見せたかと思いきや明るい顔に変わる。
「美味しゅうございます。ルーナ様」
「本当でございますか、エドモンドさん」
「はい、ルーナ様もお召し上がりください」
そう言われて、ルーナもアップルパイを一口食べる。
「お、美味しい。美味しいです、エドモンドさん」
昨日食べたアップルパイとは異なり、物足りないと感じていたものがなくなり、昨日より満足できる味だと感じる。
「美味しいですね」
エドモンドとルーナは仲良く、アップルパイを食べる。
クリスマス当日は、この作り方で作ることにしようと決めた。
食べ終わり、食器などを片付け終わり、キッチンから出る。
ルーナは、廊下を歩きながらクリスマス当日のことを考える。
どのタイミングになったらアップルパイを準備して皆に出すかなどを考える。
ルーナは、思ったクリスマスがこんなに待ち遠しいものなのだと感じる。
あれから、シャルル様を見ても気になる気持ちは、消えてしまったようだった。
初めて感じる不思議なその感覚。
ルーナは、考え事をしていた。
それは、あと数日でクリスマスを迎えるからである。
ここに来て初めてのクリスマス。
ルーナは、悩んでいた皆にあげるプレゼントを……
「どうしよう」
どんなものを贈れば喜んでくれるのだろうか?
私は、いつも貰ってばかりで一度も贈ったことがないのため何を渡せば良いのだろうか。
エミリオさんに聞きたいけど、今忙しくて会えないそうなのだ。
でも、リリーさんやリナーさんに相談したくても、それだと贈り物がバレてしまうし……
高価なものは、贈れないけど……
押し花、いやそれは……
普通のものも良いけれど、せっかくならば特別なものを贈りたい。
特別なもの……
それならば…
ムーン横丁に行けば、何か良いのが有るのではないか。
しかし、シャルル様がそこに行くことを許可してくれるのか。
きっと許してはくれない気がする。
ムーン横丁は、魔法界の人間であることを証明されていない人物は、ムーン横丁に行くための扉の鍵を開けたり、そこから入ることが出来ないのである。
同伴として付いていくことは可能なのだが。
私の場合は、シャルル様から贈り物の魔法のネックレスを持っているので行くことが出来るのである。
それが難しいのであれば、料理などはだろうか。
でも、料理なんて出来るのだろうか。
料理なんてまともに作ったことがないというのに……
しかし、料理を作ろうと決めたとして、メニューというか、作りたい料理も決めなくてはならなくなる。
こんなに悩んだのは、恐らく初めてだと思われる。
沢山、悩んだ末に料理をすることに決めた。
料理なら皆に食べてもらえるからである。
作る料理は、食後のデザートとして食べるのも良いだろうと考えた。
この時期、どんなものがあるだろうか。
アップルパイ。
ここに来て、初めて摂った夕食で出た、デザートである。
よし決めたからには、これから料理の練習を始めよう。
その前に材料を揃えるないといけない。
しかし、一人では難しいので本当は、皆を驚かせたかったが、エドモンドさんを頼ることにした。
ルーナは、キッチンに向かってあるいていると廊下の反対方向からエドモンドが歩いてくるのが見えた。
「ルーナ様、おはようございます」
「おはようございます。エドモンドさん」
ルーナは、エドモンドに挨拶をすると早速尋ねる。
「エドモンドさん、実はその私、料理をしてみたいと思っていて……」
「左様でございますか。どの様なものをお作りになられるのでございますか?」
「アップルパイを作りたいと考えておりまして、私では、上手く作れるか心配なので、もし良ければ手伝っていただきたいと思っているのですが…」
「もちろんでございますか」
「ありがとうございます」
「確かに倉庫に沢山、リンゴがあったと記憶しておりますゆえ、早速なのでございますがお時間はいかがでしょうか?」
「はい。もちろん今からで大丈夫です」
「それでは、参りましょう」
エドモンドはキッチンに向かっていく、ルーナは、そのエドモンドの後ろについていく。
キッチンに着くと、エドモンドさんは裏口から倉庫に向かい、リンゴの準備をしてくれる。
それからアップルパイに必要な材料を出してくれる。
材料
・小麦粉
・塩
・バター
・卵
・砂糖
などを準備し、最初に器に小麦粉とバターを入れ混ぜていく。
その後、どうにかエドモンドさんに手伝ってもらいながら作り終えるとオーブンの中に入れる。
一息つくとその間、焼けるまでしばらく待つことになった。
料理を作るってこんな大変なことなのだと感じた。
「手伝っていただきありがとうございます。私の至らない所もありましたのに」
「いえ、ルーナ様と料理を作れて大変楽しかったでございますよ」
「そんな言葉を言ってくださると、気持ちが楽になります」
ルーナは立ち上がり、オーブンの様子を確認する。
良く焼けているようだ。
ルーナは再び椅子に戻り座る。
時間が静かに流れていく。
突然、エドモンドさんが立ち上がり、オーブンの前に立つと、中からアップルパイを出してくれ、テーブルに置いてくれた。
「出来上がりました。ルーナ様」
アップルパイは湯気を出して、美味しそうにとはいかなかった。
残念ながら、失敗してしまった表面が黒く焦げてしまったのである。
エドモンドさんは慰めてくれた。
「最初ですから、誰でも失敗することはございますよ。もう一度、挑戦なさればよろしいのですよ」
「そうですね。もう一度挑戦してみます」
その後、もう一度挑戦したが上手くいかず、その日は作るのを終わることにした。
その後、片付けを終えて二人で仲良くそのアップルパイを味見する。
一口食べてみるが、何かが違う美味しくないかと言われたらそうではないのだか何か物足りないような気がする。
「エドモンドさん、お味はいかがですか?」
「美味しいお味でございますが」
そんなエドモンドの様子をみてルーナは、尋ねる。
「何か足りないような気がするのですが」
するとエドモンドさんはあるの食材を提案してくれた。
エドモンドさんにアドバイスをもらいながら
失敗したものは皆にバレないように私とエドモンドさんの専用のデザートとなった。
◇◆◇◆
翌日もルーナはキッチンに立っていた。
今日は、一人で材料などの準備を始め、エドモンドさんに教えてもらった作り方をしっかり確認しながら作り始める。
今日こそは、上手に作れたら良いのだが……
昨日のように器に小麦粉とバターを入れて混ぜていく。
昨日よりも慎重にていねいに混ぜていく。
行程を進めていく。
昨日、エドモンドさんが提案してくれた食材をいれていく。
「でしたら、レモンの果汁を入れてはいかがでしょうか?」
「レモンの果汁ですか?」
「左様でございます。レモン果汁”ナシ”と“アリ”の作り方がございまして、いつもは“ナシ”で作っているのですが、
今回はアリで作ってみてはいかがでしょうか!」
作り終わると、オーブンに作ったアップルパイを入れていく。
入れ終わると、椅子に座り改めてキッチンを見渡す。
コンロの棚の上には、鍋などが並べており、食器棚には沢山の食器が並んでいて、バランスよく並べられている。
キッチンには小窓がありそこから外の景色を見ることが出来て、ちょうどエドモンドさんが作業をしているのが見えた。
ルーナは、オーブンを眺めている。
朝から始めたため眠くなってしまい、ウトウトしてしまう。
シャルルがキッチンを覗くと、ルーナがおり、突っ伏すした状態で寝息をたてている。
ルーナが、目を覚ましたときには、エドモンドさんがオーブンの前におり、ちょうどオーブンにあるアップルパイの様子を見ているところだった。
ルーナは、椅子から立ち上がる。
「申し訳ございません。エドモンドさん」
「良いのですよ。数分程しか経っておりませんゆえ」
数十分後、エドモンドさんがオーブンからアップルパイを出してくれると、それをテーブルに置いてくれる。
「良い香りがしますね」
今回のアップルパイは上手に出来たと言えるのではないか。
しかし味見してみないことにはわからない。
ルーナはエドモンドさんの分のアップルパイを切り分け、皿に並べていく。
準備を終えると、二人は椅子に座る。
「最初にエドモンドさんから食べていただきたいのですが」
エドモンドさんは、一口アップルパイを食べる。
その様子を静かにルーナが見詰めている。
ドキドキする、味はどうなのだろうか?
「いかがですか、エドモンドさん……お味は?」
「大変……」
「大変」
エドモンドさんが暗い顔を見せたかと思いきや明るい顔に変わる。
「美味しゅうございます。ルーナ様」
「本当でございますか、エドモンドさん」
「はい、ルーナ様もお召し上がりください」
そう言われて、ルーナもアップルパイを一口食べる。
「お、美味しい。美味しいです、エドモンドさん」
昨日食べたアップルパイとは異なり、物足りないと感じていたものがなくなり、昨日より満足できる味だと感じる。
「美味しいですね」
エドモンドとルーナは仲良く、アップルパイを食べる。
クリスマス当日は、この作り方で作ることにしようと決めた。
食べ終わり、食器などを片付け終わり、キッチンから出る。
ルーナは、廊下を歩きながらクリスマス当日のことを考える。
どのタイミングになったらアップルパイを準備して皆に出すかなどを考える。
ルーナは、思ったクリスマスがこんなに待ち遠しいものなのだと感じる。