屋敷に戻ったシャルルとルーナは、一度各自の部屋に戻る。
ルーナは、部屋に戻ると、先ほど拾った紅葉を、紙と紙の間に挟み、それを本の間に挟むと、もう一冊の本を置き、重しにする。
押し花である。
昔、教会にいた頃に一度やったことがあり、覚えていたのである。
エミリオさんにシャルル様の小さい頃の話を聞いて、シャルル様が小さい頃から自分の意思を強く持っていることを知れた。
ルーナは、机の引き出しから日記帳を取り出す。
ページを開き、ペンを持つと書き始めた。
『今日は、エミリオさんが屋敷にやってきた。ずっと気になっていた二人の関係を聞くことが出来た。 シャルル様は小さい頃から自分の意思をしっかりと持っている人であった。私は、どうだろうか?自分の気持ちを伝えず閉じこもっていたと振り返ってみると感じる。それではいけないと感じた。少しずつでも変わっていけたらと思えるそんな日であった。シャルル様が紅葉を見せてくれた。応接室の扉を開くといきなり並木道になって驚いたがとても美しい紅葉が咲いていたのを見ることが出来た』
日記帳を閉じると、ルーナは椅子から立ち上がり部屋を出る。
食堂に着くと、リリーさんとリナーさんが準備をしていた。
リリーがルーナの気配に気づいた。
「ルーナ様、まだ準備をしているところでございますので、少々お待ちになっていてくださいね」
ルーナは、リリーの側に行くと、フォークを持つ。
「私も一緒にやります」
「ですが……」
「いつもやってもらってばかりではいけないと思いまして…」
「はい。ルーナ様ありがとうございます」
仲良く皆で準備をしていく。
準備を終えると、シャルル様がやってくる。
「もうここにいたんだね。ルーナ」
「はい。シャルル様、リリーさんとリナーさんと共に準備をしておりました」
「そうか」
「はい」
シャルルとルーナは、椅子に座ると料理が運ばれてくる。
メインのお肉料理、サラダ、スープにデザートまで出てくる。
今日のデザートは、キャロットケーキであった。
一口食べる。
美味しい、野菜なのにこんなに美味しくなってしまうなんて……
ルーナの表情を見て、シャルルが微笑ましく見ている。
食事を終えると、部屋に戻り本を読む。
ふとルーナは考える。
もしも私に魔法が使えたら、シャルル様の役に立てるのではないかと…
でも私は人間であり、魔法の力を持っていない。
どうしたら役に立てるのだろうか。
いつもシャルル様には貰ってばかりなのに……
考えているとふと時計を見るとずいぶん遅い時間になっていた。
ルーナは早く寝なければと思い本を閉じると、ベッドに入る。
ルーナがふと机を見ると何かが光って見えた気がしたのだか気のせいだろうと思いルーナは、電気を消すと眠りについた。
しかしそれは気のせいではなかったのである先ほど、ルーナが押し花を挟んだ本が光っていた。
◆◇◆◇
翌朝、早くに目が覚める。
お手洗いに行くため部屋を出る、シャルルの書斎の前を通ると、部屋の扉の隙間から明かりが漏れていた。
誰かと話しているような声が聞こえてきた。
こんな朝早くに誰と話しているのだろうか?
ルーナは耳を澄ませて聞いてみることにした。
「何があってもルーナ様をお守りします」
何故、シャルル様が私のことを“様”と読んでいるの?
「近頃では、ほんのわずかですが能力が出てきているようです」
能力って何のこと、私は何の力を持っているの……
ルーナは、動揺して立っていられず膝から崩れ落ちてしまう。
バタン。
音を聞き付けたのか、シャルルが扉を開ける。
「ルーナ」
シャルル様は驚いた表情をしている。
「今の話はなんでございますか?」
ルーナは、シャルルを見上げ尋ねる。
シャルルは、ルーナと同じ目線になるため、腰を下ろした。
「すまないね」
シャルルがそういうと、ルーナは力なく横に倒れ、気を失ってしまった。
それをシャルルが受け止めると、お姫様抱っこに持ち変えると、シャルルはルーナの部屋まで連れていく。
シャルルは思ったまだ少し、このままでいてほしい。
何も知らずに………
◆◇◆◇
ルーナが、目を覚ました。
ずいぶん寝てしまったようだ。
服を着替え終わると、書斎に向かう。
扉をノックする。
「おはようございます。シャルル様」
扉が開かれる。
「おはよう、ルーナよく眠れたかい?」
「はい、今日はずいぶん眠ってしまったようです」
「そういう日もあって良いと思うよ」
「そうですね。シャルル様、今日も書庫に行きたいのですが…」
ルーナがそういうと、シャルルは一度部屋に戻ると引き出しから取り出し、鍵を渡してくれる。
「ありがとうございます。では失礼いたします」
「そうだ、ルーナ」
「何でしょうか。シャルル様」
「今朝のことだけど」
「今朝のこととは?」
「僕の勘違いだったようだ。今日も良い本が見つかると良いね」
「はい」
ルーナは、前に身体を戻すと、書斎の方へ向かっていた。
その姿を見届けると、シャルルは扉を閉める。
どうやらあの時の記憶はしっかり消えているようだ。
ルーナは、書庫の前に立つと鍵で扉を開ける。
いつもの定位置に座り、今日読む本を探す。
ここには、沢山の本がありシャルル様が定期的に魔法の力で入れ換えてくれているため新しい本を読むことが出来るのである。
「今日は何を読もうかしら」
ルーナは、一冊の青色の表紙の本を手に取る。
題名は『魔法の子』という名前の本で、物語はというと王族の子供として生まれたエミリーは、生まれながらに秘めた力を持っていた。
しかし、その力は、まだ赤ん坊のエミリーでは制御できないほどの強い力だった。
王様は魔法使いに頼んで、エミリーの力を封印ることにした。
しかし、魔法使いは王様にある提案を持ちかける。
エミリーが十七歳になったら……
ページをめくると、ページが破られている。
どういうことなのだろうか?
ルーナは、何故かこの本の物語の続きがとても気になった。
誰かが扉をノックする。
扉が開かれ、ルーナが振り返るとそこには、シャルルが立っていた。
ルーナは咄嗟に別の本の下にその本を隠す。
シャルル様が部屋の中に入ってくる。
「どうされましたか、シャルル様」
「実は、昨日エミリオが持ってきたのは、本だったのだけど、新作が出たら持ってきてほしいと頼んでおいたんだ。ルーナが喜んでくれると思ってね」
ルーナは、立ち上がりシャルルが持っているの袋を受け取る。
「ありがとうございます。シャルル様」
机に袋を置くと、その袋の中の本を取り出していく。
「この本のシリーズ、読んでみたいと思っていたのでございます。今読んでもよろしいでございますか?」
「もちろん」
ルーナは椅子に座ると、その本のページを開く。
その様子をシャルルが椅子に座って眺めている。
本を読み進めていると、シャルルが口を開く。
「ルーナ」
ルーナは、シャルルの方を向く。
「はい」
「僕は、そろそろ書斎に戻ることにするよ。ゆっくり本の続きを読むと良い……」
「はい。ありがとうございます」
ルーナは、シャルルが部屋から出ていくと、本の続きを読み始める。
この本の物語は、王子が子供の頃に出会った一人の少女のことをずっと思い続けていた。
いつかまた出会えることを願っていた。
そして、ある日一人の少女が城の使用人として雇われることになった。
王子は、彼女を見た瞬間すぐにあの時の少女だと気づく。
しかし、女性は王子の顔を見てもその時のこと覚えていないようである。
一度、勇気を出して王子は、話しかけてみることにした。
しかし、その様子は王子として接しているときの話し方をしていた。
王子は、理解していた彼女の身分は使用人、しかし王子は、国を背負っていく貴族。
どう足掻いても、この差を埋めることは容易いことではない。
やっと出会えたのに諦めるしかないのか。
王子は、どんな選択を選ぶでしょうか?
そんな物語である。
私ならば、どんな選択を選ぶだろうか?
王子のような選択を選ぶだろうか。
それが国をも巻き込むことだとしても……
その信念を私は、貫き通すことが出来るだろうか?
今の私には、決めることが出来ない、もしそんな時が来たとき、そのときの私はどんな選択を選ぶのだろうか?
ルーナは、本から目を離すと、窓の空を見上げる。
ルーナは、部屋に戻ると、先ほど拾った紅葉を、紙と紙の間に挟み、それを本の間に挟むと、もう一冊の本を置き、重しにする。
押し花である。
昔、教会にいた頃に一度やったことがあり、覚えていたのである。
エミリオさんにシャルル様の小さい頃の話を聞いて、シャルル様が小さい頃から自分の意思を強く持っていることを知れた。
ルーナは、机の引き出しから日記帳を取り出す。
ページを開き、ペンを持つと書き始めた。
『今日は、エミリオさんが屋敷にやってきた。ずっと気になっていた二人の関係を聞くことが出来た。 シャルル様は小さい頃から自分の意思をしっかりと持っている人であった。私は、どうだろうか?自分の気持ちを伝えず閉じこもっていたと振り返ってみると感じる。それではいけないと感じた。少しずつでも変わっていけたらと思えるそんな日であった。シャルル様が紅葉を見せてくれた。応接室の扉を開くといきなり並木道になって驚いたがとても美しい紅葉が咲いていたのを見ることが出来た』
日記帳を閉じると、ルーナは椅子から立ち上がり部屋を出る。
食堂に着くと、リリーさんとリナーさんが準備をしていた。
リリーがルーナの気配に気づいた。
「ルーナ様、まだ準備をしているところでございますので、少々お待ちになっていてくださいね」
ルーナは、リリーの側に行くと、フォークを持つ。
「私も一緒にやります」
「ですが……」
「いつもやってもらってばかりではいけないと思いまして…」
「はい。ルーナ様ありがとうございます」
仲良く皆で準備をしていく。
準備を終えると、シャルル様がやってくる。
「もうここにいたんだね。ルーナ」
「はい。シャルル様、リリーさんとリナーさんと共に準備をしておりました」
「そうか」
「はい」
シャルルとルーナは、椅子に座ると料理が運ばれてくる。
メインのお肉料理、サラダ、スープにデザートまで出てくる。
今日のデザートは、キャロットケーキであった。
一口食べる。
美味しい、野菜なのにこんなに美味しくなってしまうなんて……
ルーナの表情を見て、シャルルが微笑ましく見ている。
食事を終えると、部屋に戻り本を読む。
ふとルーナは考える。
もしも私に魔法が使えたら、シャルル様の役に立てるのではないかと…
でも私は人間であり、魔法の力を持っていない。
どうしたら役に立てるのだろうか。
いつもシャルル様には貰ってばかりなのに……
考えているとふと時計を見るとずいぶん遅い時間になっていた。
ルーナは早く寝なければと思い本を閉じると、ベッドに入る。
ルーナがふと机を見ると何かが光って見えた気がしたのだか気のせいだろうと思いルーナは、電気を消すと眠りについた。
しかしそれは気のせいではなかったのである先ほど、ルーナが押し花を挟んだ本が光っていた。
◆◇◆◇
翌朝、早くに目が覚める。
お手洗いに行くため部屋を出る、シャルルの書斎の前を通ると、部屋の扉の隙間から明かりが漏れていた。
誰かと話しているような声が聞こえてきた。
こんな朝早くに誰と話しているのだろうか?
ルーナは耳を澄ませて聞いてみることにした。
「何があってもルーナ様をお守りします」
何故、シャルル様が私のことを“様”と読んでいるの?
「近頃では、ほんのわずかですが能力が出てきているようです」
能力って何のこと、私は何の力を持っているの……
ルーナは、動揺して立っていられず膝から崩れ落ちてしまう。
バタン。
音を聞き付けたのか、シャルルが扉を開ける。
「ルーナ」
シャルル様は驚いた表情をしている。
「今の話はなんでございますか?」
ルーナは、シャルルを見上げ尋ねる。
シャルルは、ルーナと同じ目線になるため、腰を下ろした。
「すまないね」
シャルルがそういうと、ルーナは力なく横に倒れ、気を失ってしまった。
それをシャルルが受け止めると、お姫様抱っこに持ち変えると、シャルルはルーナの部屋まで連れていく。
シャルルは思ったまだ少し、このままでいてほしい。
何も知らずに………
◆◇◆◇
ルーナが、目を覚ました。
ずいぶん寝てしまったようだ。
服を着替え終わると、書斎に向かう。
扉をノックする。
「おはようございます。シャルル様」
扉が開かれる。
「おはよう、ルーナよく眠れたかい?」
「はい、今日はずいぶん眠ってしまったようです」
「そういう日もあって良いと思うよ」
「そうですね。シャルル様、今日も書庫に行きたいのですが…」
ルーナがそういうと、シャルルは一度部屋に戻ると引き出しから取り出し、鍵を渡してくれる。
「ありがとうございます。では失礼いたします」
「そうだ、ルーナ」
「何でしょうか。シャルル様」
「今朝のことだけど」
「今朝のこととは?」
「僕の勘違いだったようだ。今日も良い本が見つかると良いね」
「はい」
ルーナは、前に身体を戻すと、書斎の方へ向かっていた。
その姿を見届けると、シャルルは扉を閉める。
どうやらあの時の記憶はしっかり消えているようだ。
ルーナは、書庫の前に立つと鍵で扉を開ける。
いつもの定位置に座り、今日読む本を探す。
ここには、沢山の本がありシャルル様が定期的に魔法の力で入れ換えてくれているため新しい本を読むことが出来るのである。
「今日は何を読もうかしら」
ルーナは、一冊の青色の表紙の本を手に取る。
題名は『魔法の子』という名前の本で、物語はというと王族の子供として生まれたエミリーは、生まれながらに秘めた力を持っていた。
しかし、その力は、まだ赤ん坊のエミリーでは制御できないほどの強い力だった。
王様は魔法使いに頼んで、エミリーの力を封印ることにした。
しかし、魔法使いは王様にある提案を持ちかける。
エミリーが十七歳になったら……
ページをめくると、ページが破られている。
どういうことなのだろうか?
ルーナは、何故かこの本の物語の続きがとても気になった。
誰かが扉をノックする。
扉が開かれ、ルーナが振り返るとそこには、シャルルが立っていた。
ルーナは咄嗟に別の本の下にその本を隠す。
シャルル様が部屋の中に入ってくる。
「どうされましたか、シャルル様」
「実は、昨日エミリオが持ってきたのは、本だったのだけど、新作が出たら持ってきてほしいと頼んでおいたんだ。ルーナが喜んでくれると思ってね」
ルーナは、立ち上がりシャルルが持っているの袋を受け取る。
「ありがとうございます。シャルル様」
机に袋を置くと、その袋の中の本を取り出していく。
「この本のシリーズ、読んでみたいと思っていたのでございます。今読んでもよろしいでございますか?」
「もちろん」
ルーナは椅子に座ると、その本のページを開く。
その様子をシャルルが椅子に座って眺めている。
本を読み進めていると、シャルルが口を開く。
「ルーナ」
ルーナは、シャルルの方を向く。
「はい」
「僕は、そろそろ書斎に戻ることにするよ。ゆっくり本の続きを読むと良い……」
「はい。ありがとうございます」
ルーナは、シャルルが部屋から出ていくと、本の続きを読み始める。
この本の物語は、王子が子供の頃に出会った一人の少女のことをずっと思い続けていた。
いつかまた出会えることを願っていた。
そして、ある日一人の少女が城の使用人として雇われることになった。
王子は、彼女を見た瞬間すぐにあの時の少女だと気づく。
しかし、女性は王子の顔を見てもその時のこと覚えていないようである。
一度、勇気を出して王子は、話しかけてみることにした。
しかし、その様子は王子として接しているときの話し方をしていた。
王子は、理解していた彼女の身分は使用人、しかし王子は、国を背負っていく貴族。
どう足掻いても、この差を埋めることは容易いことではない。
やっと出会えたのに諦めるしかないのか。
王子は、どんな選択を選ぶでしょうか?
そんな物語である。
私ならば、どんな選択を選ぶだろうか?
王子のような選択を選ぶだろうか。
それが国をも巻き込むことだとしても……
その信念を私は、貫き通すことが出来るだろうか?
今の私には、決めることが出来ない、もしそんな時が来たとき、そのときの私はどんな選択を選ぶのだろうか?
ルーナは、本から目を離すと、窓の空を見上げる。