季節は、移り変わり秋へと移り変わっていく。
それは突然の訪問であった。
今日は、なんとルーナがこの屋敷にやってきて、はじめてエミリオがこの屋敷に訪問してきたのである。
しかし、シャルルは仕事の用事で昨日から留守にしていた。
「仕事で留守にしてるって知らずに来てしまったよ」
応接室でルーナとエミリオが話している。
ルーナは最初は少し緊張しながらもエミリオと話をしていたのだが、話していくにつれて段々と慣れていき緊張せずに最初よりも話せるようになったと実感する。
そして最初はエミリオ様と呼んでいたのだか、それだと何だか偉そうに感じるとエミリオ本人に言われてしまい、エミリオさんと呼ぶようになったのである。
「そうだったのですね。突然いらしたので驚きました」
「シャルルに良いものが入ったから分けてやろうと思って、それについでにまたお前にも会いたかったしな」
エミリオさんは照れ臭そうに話している。
エミリオは何というか素直に気持ちを伝えられない性格なのかもしれないとルーナは感じた。
「ありがとうございます。私もまたエミリオさんにお会いしたいと思っておりました」
「そうか。それは……荷物はここに置いていくからな」
「はい。ところでエミリオさん、私ずっとお聞きしたいことがあるのですが……」
「何でも聞いてくれていいぞ」
「エミリオさんはシャルル様どういう経緯で仲良くなられたのかなと以前から気になっておりまして…」
「何だそんなことか、あれはまだ俺らが子供だった頃、確か十二の時、シャルルと俺は森の中で出会ったんだ」
「森ですか?」
「そう、森の中。俺は、商人の家に育ったいわゆる平民として生きてきた。俺だって魔法世に生まれたから魔法が使えた。でも上級の魔法は平民は使ってはいけないという法があった。俺はそれが悔しかった。貴族の奴らだけが上級の魔法を使えるなんておかしいと思った。平民は、中級の二段階までは平民は使うことを許されていたんだ。そんな時にシャルルに出会った。シャルルは、服装からみても平民ではないことはすぐにわかった。貴族の奴らだと思った」
十二歳のエミリオがシャルルに話しかける。
「おい、お前、俺の練習の場所で何をしてる」
「申し訳ない、今移動するよ」
「お前、貴族だろ」
「どうして、そう思うの?」
「服が綺麗だし、それに今やっていた魔法は平民には使えないから」
「そうだね。僕は貴族の分類に入る。それに先ほどから君はそんなに怖い顔をしているの?」
「そ、それは、許せないからだよ」
「何が許せないの?」
「貴族ばかりが上級魔法を独占していることにだよ。何故、平民の俺らには使えないんだ。おかしいだろ」
「確かにそうだね。僕は貴族が上級魔法を独占するということが正しいとは思わない。なぜなら平民と言われる位置にいる人でもこの上級魔法の力を磨けば素晴らしい魔法使いが見つかるかもしれない。そしてその力で誰かを助けることも出来るし、国をも救ってしまうかもしれないと僕は考えている」
「そんなこと出来るわけないだろ。だって平民は使うことを許されていないのだから」
「ならば、強くなればいいんだよ」
「どういうことだよ」
「強くなれば、国がそれを認めて平民にも上級魔法を使える日が来るかもしれない」
「そんなの夢物語だよ」
「ならば、君がなればいいじゃないか、その一人に…そして、君が平民も貴族の地位も関係ないと国に認めさせるんだよ」
「それを聞いた俺は、何も言えなくなった。シャルルは、平民とか貴族とか関係なくただ魔法使いとして相応しい能力をもったものが魔法を使うべきだとも言っていた。確かにそうだと思った。貴族だからといって魔法の力を振りかざしていい訳ではない」
「そんなことをシャルル様が言っていたのですね…」
「あの頃のシャルルは幼かったけれど、俺にはとても大人びていたみえた」
十二歳のシャルルは、エミリオにいいました。
「僕は早く大人になりたいんだ。そして守りたいあの方を…」
「あの方とは?」
「聞いたけど、教えてくれなかったなぁ、母親とかだと思うけれどなあ」
「母親……」
ルーナは、ふと考えてしまったのです。
顔も名前も知らない両親のことを…
「それから俺は、一生懸命に魔法を覚えた。相変わらず、シャルルは簡単に魔法を出していたけれど」
その日もエミリオはシャルルに話しかけていました。
「そろそろ、名前教えてくれよ」
「君じゃ駄目なのかな?」
「それじゃなんか、寂しいだろ」
エミリオは何だが照れ臭そうにシャルルの目を見る。
しかたなさそうに、シャルルは自分の名前を告げる。
「僕の名前は、シャルル」
「シャルルか、俺はエミリオだ。よろしくな!」
「よろしく、エミリオ」
「その日からどんどん仲良くなっていって今にいたるというわけだけど」
「そんな経緯で仲良くなられたのですね。そういえばエミリオさんは、魔法界に住んでおられるのですか?」
「そう。俺は魔法界に住んでいるよ」
「しかし、シャルル様は魔法界ではなく、人間界に住んでいるのでしょう?」
「人間界の方が住み心地がいいだそうだ」
「そうなのですね」
「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないとな」
そういう、エミリオは立ち上がると、ルーナはその後を着いていきます。
玄関までエミリオを送り届けます。
「今日は、貴重なお話をしていただきありがとうございます。またお越しになってください」
「おう、また来るよ。今度は、シャルルがいるときにな」
「はい。シャルル様が居られるときに!」
エミリオは屋敷から出ると、裏路地に向かう、呪文を唱えると扉が現れる、すぐにそこには入り小さな空間が現れると、そこには扉があり紋章を扉に当てる。
すると、ムーン横丁の自分の書店に着いたのでした。
ルーナは、エミリオを見送ると、応接室に戻りルーナは、エミリオが置いていった荷物を持つと、応接室を出ると二階に上がりシャルルの書斎に向かいます。
書斎に到着するとテーブルに荷物を置きます。
ルーナは書斎から出ると、廊下の小窓から馬車が屋敷に入ってくるのが見えました。
シャルルが帰ってきたようである。
二階から一階に下りて行くと、シャルルがもうすでに玄関ホールまできていたのでした。
ルーナは急いでシャルルのもとに駆け寄っていく。
「おかえりなさいませ。シャルル様」
「ルーナ、今帰ったよ」
「実は先ほどまでエミリオさんがいらしていたのですが、つい先ほど帰ってしまって」
「そうだっただね。あとでエミリオに連絡しておくよ」
「その荷物を置いていかれて、書斎に置いてありますので」
「ルーナが持っていってくれたのかい?ありがとう」
「いえ、それほどのことではありません」
「では、ご褒美をあげよう」
そういうとシャルルは、ルーナの手取り、応接室の扉を開ける。
するとそこは、美しい紅葉の咲く並木道が広がっていた。
綺麗に紅葉の赤の色がよく見える。
ルーナはその中に足を踏み入れました。
「うーあー、綺麗です。シャルル様」
ルーナは、嬉しそうに跳び跳ねそうになっている。
二人で並木道を歩く、地面には散った紅葉の絨毯が出来ている。
「シャルル様、先ほどエミリオさんにお二人の出会いを聞かせていただきました」
「エミリオが…」
「はい。そこでシャルル様が子供の頃に話されていた、上級魔法を貴族が独占するのは正しいことではないと言っていらしていましたが…」
ベンチを見つけるとシャルルが座ると、ルーナも隣に座る。
「今でも、僕はそう思っているよ。僕の世界の魔法というのは、初級、中級、上級に分かれていて、例えば、初級からでも三段階にラベル分けがされている。もちろん、中級、上級も同様に分けられている。エミリオに聞いたと思うけど、平民は中級の二段階までしか使うことを許されていなかったというのは聞いたよね」
ルーナは頷く。
「でもそれは昔の話しであり今では、中級の三段階まで使うことを許されているよ」
「それでは……」
「エミリオのほかにもそう思っている人が居たということだ。でもこれは、ある意味一歩に過ぎない。いつか本当に平民の人々にも上級魔法を使える日は来ると僕は思っているよ」
「私にはなにも出来ないけれどそれでも私応援していきます。皆さんが平等に平民とか貴族と関係なく上級魔法を使えるようになることを」
「ありがとう、ルーナ。その言葉だけで十分だよ」
シャルルは、ルーナに優しく微笑むのでした。
しばらくベンチで紅葉を見ながら静かに時間を過ごした二人なのでした。
するとシャルルがルーナに話しかけてくる。
「そろそろ、帰ろう。皆が待っているね」
「はい、シャルル様」
シャルルとルーナはベンチから立ち上がると、扉に向かって歩いていく。
樹から紅葉が落ち、風に紅葉が揺れてまるで紅葉のカーテンのように降り注ぐのであった。
それは突然の訪問であった。
今日は、なんとルーナがこの屋敷にやってきて、はじめてエミリオがこの屋敷に訪問してきたのである。
しかし、シャルルは仕事の用事で昨日から留守にしていた。
「仕事で留守にしてるって知らずに来てしまったよ」
応接室でルーナとエミリオが話している。
ルーナは最初は少し緊張しながらもエミリオと話をしていたのだが、話していくにつれて段々と慣れていき緊張せずに最初よりも話せるようになったと実感する。
そして最初はエミリオ様と呼んでいたのだか、それだと何だか偉そうに感じるとエミリオ本人に言われてしまい、エミリオさんと呼ぶようになったのである。
「そうだったのですね。突然いらしたので驚きました」
「シャルルに良いものが入ったから分けてやろうと思って、それについでにまたお前にも会いたかったしな」
エミリオさんは照れ臭そうに話している。
エミリオは何というか素直に気持ちを伝えられない性格なのかもしれないとルーナは感じた。
「ありがとうございます。私もまたエミリオさんにお会いしたいと思っておりました」
「そうか。それは……荷物はここに置いていくからな」
「はい。ところでエミリオさん、私ずっとお聞きしたいことがあるのですが……」
「何でも聞いてくれていいぞ」
「エミリオさんはシャルル様どういう経緯で仲良くなられたのかなと以前から気になっておりまして…」
「何だそんなことか、あれはまだ俺らが子供だった頃、確か十二の時、シャルルと俺は森の中で出会ったんだ」
「森ですか?」
「そう、森の中。俺は、商人の家に育ったいわゆる平民として生きてきた。俺だって魔法世に生まれたから魔法が使えた。でも上級の魔法は平民は使ってはいけないという法があった。俺はそれが悔しかった。貴族の奴らだけが上級の魔法を使えるなんておかしいと思った。平民は、中級の二段階までは平民は使うことを許されていたんだ。そんな時にシャルルに出会った。シャルルは、服装からみても平民ではないことはすぐにわかった。貴族の奴らだと思った」
十二歳のエミリオがシャルルに話しかける。
「おい、お前、俺の練習の場所で何をしてる」
「申し訳ない、今移動するよ」
「お前、貴族だろ」
「どうして、そう思うの?」
「服が綺麗だし、それに今やっていた魔法は平民には使えないから」
「そうだね。僕は貴族の分類に入る。それに先ほどから君はそんなに怖い顔をしているの?」
「そ、それは、許せないからだよ」
「何が許せないの?」
「貴族ばかりが上級魔法を独占していることにだよ。何故、平民の俺らには使えないんだ。おかしいだろ」
「確かにそうだね。僕は貴族が上級魔法を独占するということが正しいとは思わない。なぜなら平民と言われる位置にいる人でもこの上級魔法の力を磨けば素晴らしい魔法使いが見つかるかもしれない。そしてその力で誰かを助けることも出来るし、国をも救ってしまうかもしれないと僕は考えている」
「そんなこと出来るわけないだろ。だって平民は使うことを許されていないのだから」
「ならば、強くなればいいんだよ」
「どういうことだよ」
「強くなれば、国がそれを認めて平民にも上級魔法を使える日が来るかもしれない」
「そんなの夢物語だよ」
「ならば、君がなればいいじゃないか、その一人に…そして、君が平民も貴族の地位も関係ないと国に認めさせるんだよ」
「それを聞いた俺は、何も言えなくなった。シャルルは、平民とか貴族とか関係なくただ魔法使いとして相応しい能力をもったものが魔法を使うべきだとも言っていた。確かにそうだと思った。貴族だからといって魔法の力を振りかざしていい訳ではない」
「そんなことをシャルル様が言っていたのですね…」
「あの頃のシャルルは幼かったけれど、俺にはとても大人びていたみえた」
十二歳のシャルルは、エミリオにいいました。
「僕は早く大人になりたいんだ。そして守りたいあの方を…」
「あの方とは?」
「聞いたけど、教えてくれなかったなぁ、母親とかだと思うけれどなあ」
「母親……」
ルーナは、ふと考えてしまったのです。
顔も名前も知らない両親のことを…
「それから俺は、一生懸命に魔法を覚えた。相変わらず、シャルルは簡単に魔法を出していたけれど」
その日もエミリオはシャルルに話しかけていました。
「そろそろ、名前教えてくれよ」
「君じゃ駄目なのかな?」
「それじゃなんか、寂しいだろ」
エミリオは何だが照れ臭そうにシャルルの目を見る。
しかたなさそうに、シャルルは自分の名前を告げる。
「僕の名前は、シャルル」
「シャルルか、俺はエミリオだ。よろしくな!」
「よろしく、エミリオ」
「その日からどんどん仲良くなっていって今にいたるというわけだけど」
「そんな経緯で仲良くなられたのですね。そういえばエミリオさんは、魔法界に住んでおられるのですか?」
「そう。俺は魔法界に住んでいるよ」
「しかし、シャルル様は魔法界ではなく、人間界に住んでいるのでしょう?」
「人間界の方が住み心地がいいだそうだ」
「そうなのですね」
「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないとな」
そういう、エミリオは立ち上がると、ルーナはその後を着いていきます。
玄関までエミリオを送り届けます。
「今日は、貴重なお話をしていただきありがとうございます。またお越しになってください」
「おう、また来るよ。今度は、シャルルがいるときにな」
「はい。シャルル様が居られるときに!」
エミリオは屋敷から出ると、裏路地に向かう、呪文を唱えると扉が現れる、すぐにそこには入り小さな空間が現れると、そこには扉があり紋章を扉に当てる。
すると、ムーン横丁の自分の書店に着いたのでした。
ルーナは、エミリオを見送ると、応接室に戻りルーナは、エミリオが置いていった荷物を持つと、応接室を出ると二階に上がりシャルルの書斎に向かいます。
書斎に到着するとテーブルに荷物を置きます。
ルーナは書斎から出ると、廊下の小窓から馬車が屋敷に入ってくるのが見えました。
シャルルが帰ってきたようである。
二階から一階に下りて行くと、シャルルがもうすでに玄関ホールまできていたのでした。
ルーナは急いでシャルルのもとに駆け寄っていく。
「おかえりなさいませ。シャルル様」
「ルーナ、今帰ったよ」
「実は先ほどまでエミリオさんがいらしていたのですが、つい先ほど帰ってしまって」
「そうだっただね。あとでエミリオに連絡しておくよ」
「その荷物を置いていかれて、書斎に置いてありますので」
「ルーナが持っていってくれたのかい?ありがとう」
「いえ、それほどのことではありません」
「では、ご褒美をあげよう」
そういうとシャルルは、ルーナの手取り、応接室の扉を開ける。
するとそこは、美しい紅葉の咲く並木道が広がっていた。
綺麗に紅葉の赤の色がよく見える。
ルーナはその中に足を踏み入れました。
「うーあー、綺麗です。シャルル様」
ルーナは、嬉しそうに跳び跳ねそうになっている。
二人で並木道を歩く、地面には散った紅葉の絨毯が出来ている。
「シャルル様、先ほどエミリオさんにお二人の出会いを聞かせていただきました」
「エミリオが…」
「はい。そこでシャルル様が子供の頃に話されていた、上級魔法を貴族が独占するのは正しいことではないと言っていらしていましたが…」
ベンチを見つけるとシャルルが座ると、ルーナも隣に座る。
「今でも、僕はそう思っているよ。僕の世界の魔法というのは、初級、中級、上級に分かれていて、例えば、初級からでも三段階にラベル分けがされている。もちろん、中級、上級も同様に分けられている。エミリオに聞いたと思うけど、平民は中級の二段階までしか使うことを許されていなかったというのは聞いたよね」
ルーナは頷く。
「でもそれは昔の話しであり今では、中級の三段階まで使うことを許されているよ」
「それでは……」
「エミリオのほかにもそう思っている人が居たということだ。でもこれは、ある意味一歩に過ぎない。いつか本当に平民の人々にも上級魔法を使える日は来ると僕は思っているよ」
「私にはなにも出来ないけれどそれでも私応援していきます。皆さんが平等に平民とか貴族と関係なく上級魔法を使えるようになることを」
「ありがとう、ルーナ。その言葉だけで十分だよ」
シャルルは、ルーナに優しく微笑むのでした。
しばらくベンチで紅葉を見ながら静かに時間を過ごした二人なのでした。
するとシャルルがルーナに話しかけてくる。
「そろそろ、帰ろう。皆が待っているね」
「はい、シャルル様」
シャルルとルーナはベンチから立ち上がると、扉に向かって歩いていく。
樹から紅葉が落ち、風に紅葉が揺れてまるで紅葉のカーテンのように降り注ぐのであった。