約束してから数日経った。伊吹は今までよりずっと明るい青年になった。大江山の中だけでは飽き足らず、山の外へ遊びに行くこともしばしばだった。

「やっぱり最近お頭穏やかになりましたね。」
「そうか?あまり変わらないと思うけど。」
「頭目…元気なの嬉しい…。」

 茨木が久しぶりに喋った。そういえばお前だけは私のことを『頭目』と呼んでいたな。

 そうやって仲間と話してしばらく経つが…伊吹が帰ってこない。一体どこをほっつき歩いているのか。

「お頭、そんなに心配せずとも大丈夫ですよ。伊吹ももう色を知る歳だからきっと今頃…」
「それ以上喋るなら、血が無いのは貴様のほうになるぞ。」
「すみませんって!冗談ですよ!!」

 冗談では済まないから言っているというのに。