通路内の入口脇に一本のかなりな大きさの松明と、陶器製の油壺が置かれていた。
 ダリウスは兵の一人に懐中から火打ち石を取り出し手渡すと、松明に油をたっぷりと染み込ませ火をつけるように命じる。

〝カチカチ、カチカチ〟

 多少手間取りはしたが、なんとか炎が灯った。

 松明を手に持った兵と指揮官らしき簡単な飾りの付いた革冑の若者が先導となり、少年と守役のダリウスを間にはさみ、その後ろに残る二名の兵がつき従い狭い通路へと侵入してゆく。


 ダリウスは扉を元のように回転させぴたりと閉じると、扉の内側にある鍵ででもあるのだろう金属片を器用に操作した。

〝ガチャリ〟

 錠の閉まる音が小さく響いた。

 施錠音を確認した彼は、手にしていた小柄を乱暴に金属に叩きつけた。

〝ガツンッ〟

 金属片が地に落ちた。

 もうそこには真の闇と、静寂とがあるだけだった。
 先導の兵が持っている松明の炎だけが、唯一の頼りである。