色を失った毎日は、碧にとっても、地獄のようだった。

 千乃がいない学校なんて、行く意味がないとも思った。

 それでも、こうして毎日登校しているのも、諦めずに小説を書いているのもまた、千乃の一言があったからだ。

 告白への返事はないけれど、あの電話から数日後に送られてきたもの。

『私の光でいて』

 碧は、このメッセージを見て、碧は泣いた。

 小さな子どものように、泣き喚いた。

 千乃は天使の顔をして、残酷だ。

 諦めさせてくれない。

 千乃への想い以外は投げ出してしまいたかったのに、持っているものすべてを大切にしていろと言われた気がした。

 自暴自棄になりたくても、千乃の光でいるためには夢を追い続けていなければならない。

 いつか奇跡が起こって、千乃が生き抜いたとき、碧が二人で描いた夢を叶える舞台を用意しておきたい。

 それが、どれほど大変で、孤独かを考えると恐ろしくなる。

 だけど、千乃も独りで闘い続けているのだ。自分だけ、楽な道を選ぶことはできない。

 「俺の光は、君なんだ。だから、お願い。俺を置いていかないで。一緒に夢を叶えるんだよ。……どうか、消えてしまわないで」