「ちょっと歩こう?」
彼女が僕に会いに来てくれた場所で、伝えたかった。だから、少しだけ一緒に歩きたかった。
5分くらい2人で冗談を言い合いながら河川敷へ歩いた。
あの日と同じように2人並んで座って、昨日から撮った写真を少し眺めた。全ての写真で思い出を懐かしむように話したあと、僕は君に想いを伝えようと口を開く。
「あのさ、」
「うん?」
「…僕に会いに来てくれて、ありがとう。」
「どうしたの急に!」
「ずっと、思ってた。今までのたくさんの思い出ももちろんすごく大切で、大事で。

でも、ここで、君が告白してくれなかったら―。

僕と付き合ってなんて、言ってくれなかったら―。

だから、ここで君が初めて〝ずっと会いたかった〟って言ってくれた瞬間が、僕にとって何より大事な宝物になった。僕が道端に自転車を止めて河川敷で本を読んでいた時、君は白色のシャツに黄色いスカートで頬杖をつきながら僕の顔を覗き込んで言ってくれた。
〝付き合ってください〟
それが、一生忘れちゃいけない、大事な瞬間。

本当に、ありがとう。
君が駅で話してたことを聞いて、伝えないとなって思った。僕らの始まりのこの場所で。

この先も君が隣で、ずっと笑っててほしい―。」

彼女は少し驚いた表情で見つめる。

鼓動が聞こえてしまうくらいはやくなる―。