「私は幸せ者だ。桃花、幸せに暮らしてくれ。」

私は精一杯、頷いた。

そして振り切るかのように、皇帝から離れた。

これで私の人生は、終わったのだ。


部屋に戻ると、使用人が待っていた。

「聞きました。皇帝の元をなかなか離れなかったと。」

私は寝所に入ると、横になった。

「正直、驚きました。皇帝の事をそんなにも愛していたなんて。」

「別に、愛していたわけではないわ。」

「えっ?」

「……悔しかったのよ。人生を無駄にされて。」

これが私にできる、精一杯の強がりだった。


翌日、大半の妃達が宮殿を後にする中で、私も宮殿を出る事にした。

対した荷物もなく、箱一つで収まると思うと、私の宮殿生活を物語っているようで、わびしかった。