それどころか、もうこの宮殿で皇帝を待つだけの生活に、終止符を打てるかと思うと、密かに心躍るのだった。

「全く。どうするのですか?」

「そうねぇ。」

私は頬杖をついた。


少しずつ貯めたお金もあるし、細々と商人でもやるのがいいかも。

ああ、何を売ろう。

なんだか、新しい人生を考えたら、楽しくなってきた。


「お妃様。」

皇帝の使いの者が、部屋にやってきた。

「皇帝よりお達しでございます。大広間に集まれという事です。」

「そう。」

私は立ち上がると、部屋を出た。


他の妃達も大広間に向かっている。

「何の御用かしら。」

「知らないの?皇太子に皇位を譲るのよ。」

「ええっ⁉」

どうやら、知っている者と知らない者がいるらしい。

大広間に着いた時は、数十人の妃達が一堂に会していた。