始めは、誕生日毎に毎年来て下さっていた。

でも、それも無くなり、最後にお顔を拝見したのは、一年前だ。

ちょうど、この庭で他の妃達と花を見ていた時に、皇帝が顔を覗かせてくれたのだ。

それ以来。

話す事も、顔を見る事もない。

このまま私は、歳を取るだけの女になるのだろうか。


「桃花様。大変でございますよ。」

使用人が血相を変えて、帰って来た。

「どうしたのです?」

「皇帝が、近々皇太子に皇位をお譲りになるそうです。」

「まあ。」

皇帝は齢50になる。

今の内に皇位を譲るのも、徳なのかもしれない。

「何を落ち着いていらっしゃるのですか?後宮が無くなるのですよ?」

「無くなる?」

「今の妃達は、全員解雇です。この宮殿を去れという事です。」