「それにしても、こんなにお妃がいたとは。」

皇太子が出口で固まっているお妃達を見る。

「皇太子様も、皇帝になられましたら、同じ事をなさいますわ。」

私は、嫌味半分に申し上げた。

「これから、どうなさるおつもりですか。」

「さあ。商売でも始めましょうか。」

私はクスクスと笑った。


「貴女、名前は?」

「桃花と申します。」

「桃花。今日から私の後宮に来なさい。」

「えっ?」

皇太子の後宮に?

それは皇太子のお妃になるという事?


「いえ、あの……」

「ね。それで出ていかなくて済む。」

そう言うと皇太子は、行ってしまった。

その一方で、私は途方にくれながら、一旦自分が住んでいた部屋へ戻った。

「桃花様、明日にされたのですか?」

「うん……」

まさか、皇太子から誘いを受けたなど、言えるはずもない。