大学一年生の夏。私はまだ高校時代の恋愛を引きずっていた。
同じ部活の先輩に恋をしていた私は彼が卒業するタイミングで告白して、そして振られた。
正直結果はわかりきっていたし、この頃には好きだという気持ちも冷めてきていた。
ただ、このまま会えなくなってしまうのは今まで頑張ってきた私が報われないだろう。だからせめて彼を本気で好きだった頃の、大好きだった頃の私になにか結末をあげたかった。
彼を好きになった私は、もう一生消えることはないから。
でも、違った。好きの気持ちが彼から離れたわけじゃなくて、ただ閉じ込めてただけだったみたい。だから思ったよりも大きなショックを私は受けた。もちろん沢山泣いたし、ふとした時に思い出す彼との思い出が余計に心を締め付けた。
本当に好きだったから、だからこんなに引きずっているわけである。
そして好きになった彼はいわゆる鈍感男子というやつだった。
部活終わりに一緒に帰ろうと誘っても。
帰り道。バス通学の彼に合わせ、自転車通学の私がわざわざバス停まで歩いて一緒に帰っても。
ボディタッチを増やしてみても。たくさん話しかけてみても。全く気づいている様子はなかった。
もちろん気づかないふりをしてるんじゃないかとも思ったけど、友達が言うには本当に気づいてないみたい。
「部内恋愛は気まずすぎるでしょ。好きとかじゃないから安心して」
私との関係についてその友達が聞いた答えはそんな感じだったらしい。
私は間接的ではあるが、既に振られていたのだ。
それからはすべてが崩れた。この友達と彼との会話がきっかけだったのかはわからない。でもそれ以降、彼は私にどことなく冷たく接するようになった。
私が何かを質問しても、「いいんじゃない?」とか「頑張って」とか。すぐに会話を終わらせてくるようになった。
もうダメだって、巻き返せないって。わかっていても、好きという気持ちは収まらなくてただ苦しい気持ちだけが倍増していった。
私は一体どこで間違えたのだろう。いや、今思えば、私達は最初から結ばれない運命だったのかもしれない。そして私は初めから、なんとなくそれをわかっていたような気がする。
会話だってそこまで楽しくはなかったし、趣味だって合うわけじゃなかった。付き合ったとしてもうまくいかないんだろうなっていつも、ずっと思ってた。
それでも一度好きになった相手を簡単に諦めることなんて…
そんな思いと葛藤し、なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。と一番つらかった時期。友だちに言われた言葉がある。
それは「運命の人は二人いて、一人目は大きな失恋を教えてくれる人。二人目は変わらぬ愛、永遠の愛を教えてくれる人」という根拠のない話だった。
当時の私はそんな言葉、理解はできても受け入れることはできなかった。彼を好きじゃなくなることなんて、忘れることなんてできないと。当時はそう思っていた。
しかし大学生になった今、彼に振られた今、その言葉に現実味が帯びてきた気がする。
彼のことを完全に忘れられたわけではなくて、ふとした瞬間思い出が蘇り切なくなる。けれど、だからこそ、何か未練を断ち切るきっかけみたいなものが私は欲しかった。
そんな時に出会ったのが蒼汰である。
初めて会って話した時に思った。一緒にいて落ち着く人だなって。無言でいても気まずくないし、話したいことも自然と出てくる。以前の誰かさんのように話題がなくて困ったり、嫌われたらどうしようって常に不安だったり、そんな気持ちは微塵もなかった。
これは、いつからだろう。
いや初めからだったのかな。
彼と出会ってから高校時代の未練なんて泡のように消え去って、急な思い出のフラッシュバックもほとんどなくなった。
一緒にいて楽しかった。
好きになるのは、もはや必然だった。
でも、恋心を自覚したのは出会ってから少し時間が経った後。
特にきっかけがあったわけでもなく、私、この人のこと好きなんだ。と、心の中にそんな感情が湧いてきたのだ。
それからは早かった。私達の距離はグッと縮まり、運命を感じさせるような出来事も日に日に増えていった。
例えば、乗ってる電車が同じだったり。例えば、同じ本を読んでいたり。また別の日は、偶然コンビニで出くわしたり。
偶然立ち寄ったコンビニで彼を発見したときは胸の鼓動がうるさくて、それは多分朝耳元で鳴り響くスマホのアラーム音よりもうるさく、平常時の状態よりもずっと早く動いていたと思う。いや、事実今そのように動いているのだ。
眼の前にはアイスを眺める彼の背中。私はそっとその背中触れた
同じ部活の先輩に恋をしていた私は彼が卒業するタイミングで告白して、そして振られた。
正直結果はわかりきっていたし、この頃には好きだという気持ちも冷めてきていた。
ただ、このまま会えなくなってしまうのは今まで頑張ってきた私が報われないだろう。だからせめて彼を本気で好きだった頃の、大好きだった頃の私になにか結末をあげたかった。
彼を好きになった私は、もう一生消えることはないから。
でも、違った。好きの気持ちが彼から離れたわけじゃなくて、ただ閉じ込めてただけだったみたい。だから思ったよりも大きなショックを私は受けた。もちろん沢山泣いたし、ふとした時に思い出す彼との思い出が余計に心を締め付けた。
本当に好きだったから、だからこんなに引きずっているわけである。
そして好きになった彼はいわゆる鈍感男子というやつだった。
部活終わりに一緒に帰ろうと誘っても。
帰り道。バス通学の彼に合わせ、自転車通学の私がわざわざバス停まで歩いて一緒に帰っても。
ボディタッチを増やしてみても。たくさん話しかけてみても。全く気づいている様子はなかった。
もちろん気づかないふりをしてるんじゃないかとも思ったけど、友達が言うには本当に気づいてないみたい。
「部内恋愛は気まずすぎるでしょ。好きとかじゃないから安心して」
私との関係についてその友達が聞いた答えはそんな感じだったらしい。
私は間接的ではあるが、既に振られていたのだ。
それからはすべてが崩れた。この友達と彼との会話がきっかけだったのかはわからない。でもそれ以降、彼は私にどことなく冷たく接するようになった。
私が何かを質問しても、「いいんじゃない?」とか「頑張って」とか。すぐに会話を終わらせてくるようになった。
もうダメだって、巻き返せないって。わかっていても、好きという気持ちは収まらなくてただ苦しい気持ちだけが倍増していった。
私は一体どこで間違えたのだろう。いや、今思えば、私達は最初から結ばれない運命だったのかもしれない。そして私は初めから、なんとなくそれをわかっていたような気がする。
会話だってそこまで楽しくはなかったし、趣味だって合うわけじゃなかった。付き合ったとしてもうまくいかないんだろうなっていつも、ずっと思ってた。
それでも一度好きになった相手を簡単に諦めることなんて…
そんな思いと葛藤し、なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。と一番つらかった時期。友だちに言われた言葉がある。
それは「運命の人は二人いて、一人目は大きな失恋を教えてくれる人。二人目は変わらぬ愛、永遠の愛を教えてくれる人」という根拠のない話だった。
当時の私はそんな言葉、理解はできても受け入れることはできなかった。彼を好きじゃなくなることなんて、忘れることなんてできないと。当時はそう思っていた。
しかし大学生になった今、彼に振られた今、その言葉に現実味が帯びてきた気がする。
彼のことを完全に忘れられたわけではなくて、ふとした瞬間思い出が蘇り切なくなる。けれど、だからこそ、何か未練を断ち切るきっかけみたいなものが私は欲しかった。
そんな時に出会ったのが蒼汰である。
初めて会って話した時に思った。一緒にいて落ち着く人だなって。無言でいても気まずくないし、話したいことも自然と出てくる。以前の誰かさんのように話題がなくて困ったり、嫌われたらどうしようって常に不安だったり、そんな気持ちは微塵もなかった。
これは、いつからだろう。
いや初めからだったのかな。
彼と出会ってから高校時代の未練なんて泡のように消え去って、急な思い出のフラッシュバックもほとんどなくなった。
一緒にいて楽しかった。
好きになるのは、もはや必然だった。
でも、恋心を自覚したのは出会ってから少し時間が経った後。
特にきっかけがあったわけでもなく、私、この人のこと好きなんだ。と、心の中にそんな感情が湧いてきたのだ。
それからは早かった。私達の距離はグッと縮まり、運命を感じさせるような出来事も日に日に増えていった。
例えば、乗ってる電車が同じだったり。例えば、同じ本を読んでいたり。また別の日は、偶然コンビニで出くわしたり。
偶然立ち寄ったコンビニで彼を発見したときは胸の鼓動がうるさくて、それは多分朝耳元で鳴り響くスマホのアラーム音よりもうるさく、平常時の状態よりもずっと早く動いていたと思う。いや、事実今そのように動いているのだ。
眼の前にはアイスを眺める彼の背中。私はそっとその背中触れた