「…‥そっか。生きていくことが、罰。そういう考えもあるんだ」

「それが良いというわけじゃないけどね。この思考がマイナスなものであっても、生きる理由であることは変わらない。どんな理由であれ、生きていく。それだけで充分じゃないかな」

「晨の言いたいことはわかった。私がすぐにそう思えるかはわからないけど……」

「いいんじゃないかな。これまで囚われてきた考えを変えるなんて、簡単じゃないよ。ゆっくり変わっていけばいいと思う。大事なのは、真白が変わりたいと思えることだと思う」

「うん、そうかも」

 隣に座っている真白の横顔は、これまでの中で一番すっきりしているように見える。

 真っ直ぐ前を見始めた。

 そんな気がする。

 そう思っていると、真白が晨の方へ顔を向け、ふっと笑った。

 優しくて、温かみのある微笑に心臓が高鳴る。

「真白」

「なに?」

 無垢な表情で首を傾げて、こちらを見つめてくる真白から目を逸らし、自分が言おうとした言葉を呑み込む。

――好きだよ。

 このたった四文字を言ってしまったら、真白は出て行ってしまうかもしれない。

 そんな根拠のない不安が過り、誤魔化すように真白の左手を握り、指を絡めた。