晨は真白の頬にかかった髪に触れ、慎重に整えた。

 するりと流れる髪は、来たばかりの頃に比べると、艶やかになり、天使の輪ができるほど美しくなった。

 晨にシャンプーの良し悪しなど、わかるはずもなく、そういったことに興味があるだろう女の子の真白も、まったく詳しくなかった。

 そこには、真白の育ってきた環境が影響している。

 そう思う反面、興味のない女の子だっている、という考えも浮かぶ。

 些細な理由であってほしいと願っている晨は、すでにそうではないとわかっているのかもしれない。

 晨は真白を頬に触れ、心の中で何度も謝罪した。

 そして、不安と恐怖を抑え込み、一つの決意を固めた。