窓から暁光が差し込み、小鳥の(さえず)りが微かに聞こえる。

 そっと寝室を出て、キッチンへ向かった晨は、リビングで寝ている真白が起きないように、細心の注意を払っていたはずだった。

「……晨?」

「ごめん。起こしちゃった」

 真白はソファーとローテーブルの間に敷いた布団から身体を起こし、目を擦る。

 まだ寝ぼけているのか、こちらに向いた真白の目はとろんとしている。

「いいよ。起きるところだったから」

 その次の瞬間、真白のスマホからアラーム音が小さく鳴った。

 キッチンにいる晨が耳を澄まさないと聞こえないくらい小さな音だ。

 真白は普段から晨を起こさないように、こんなにも小さな音で目を覚ましてくれていた。

 そう思うと、胸の奥が温かくなる。

「どうしたの? 寝れなかった?」

「いや、少し寝たよ。でも、朝陽で目を覚ましたら、急に写真を撮りに行きたくなったんだ」

「写真⁉」

 真白は勢いよく立ち上がると、寝起きとは思えないほどの素早い動きで、晨の目の前までやってきた。